![]() |
移る時代 - 2005年04月06日(水) 教科書の検定結果が出た。1995年申請の教科書を利用して世界史と現代社会を教えた経験のある私から見ると今回の第2次世界大戦をめぐる記述に関する教科書検定結果はものすごい勢いで変化する時代を如実に語るものだと感じる。わたしたちは第2次世界大戦の加害国に生まれた。その認識を欠落させて世界と協調できる子どもが育つのだろうか。とても不安だ。 ゆとりの教育を批判するとき、多くの人が「家庭でしっかり基礎学力をつけさせなければ」といっていたが、これだけ学校教育の歴史認識を教える部分が偏向しては、家庭教育でしっかり歴史認識を育まねばなるまいよ。 ちなみにゆとりの教育によって教科教育を削ることで総合学習の時間を増やし「自分で考える力を養うプログラムを各教育現場で形成する」という理念があったはずだ。パウロ・フレイレが「被抑圧者の教育学」で語った『銀行預金型教育』から『課題解決型教育』への転換が目指されていたのだと理解していた。しかし今回の検定結果に見る早すぎる方向転換は、考える土台となるべき歴史認識を削り,自分で考える力を養うプログラムにあてられるはずだった総合学習が教科教育へと明渡されるというなんだか為政者にとってコントロールしやすい、都合の良い国民教育を目指しているんだなと感じてしまう。 私の両親は昭和一桁世代なので(母は10年生まれだからかろうじて二桁か)実体験として戦争の話が聞けた。明治生まれの祖父母には『なんでちゃんと戦争をとめなかったの?日本が悪くなっていくとき、大人だったんでしょ?』なんて無邪気なことも言えた。 でも今の子どもは実体験を持つ世代や戦争を止められなかった世代の話を聞けず、『誰か』の又聞きでしか前の戦争に触れられない。『誰か』の主観でとっても揺らぐ戦争の体験にしか触れられない。 今責任世代にある私たちの目の前で歴史が変わっていこうとしている。なんと言う時代に大人としてめぐり合わせてしまったのだろうか。 それでも現在投票権のない子ども世代の人々や命を授かる前の孫世代の人々、または国政参加を拒まれているこの国に永住している外国籍・無国籍の人々に『なんでちゃんと日本が悪くなっていくのをとめなかったの?』と問われないようにしたい。 、、、でも、どうやって?と立ちすくむ自分もいる。 ...
|
![]() |
![]() |