ロクデナシの映画でした。 つまらないくらいまっとうな市民生活を送る兄(デビッド・モース)に いつもいつも迷惑をかける弟(ヴィゴ・モーテンセン)。 愛想をつかすことなく兄は弟の後を追い、「おまえのことが好きだよ」と言う。 そのことがますます弟を追いつめる。 ヴィゴ演じるところの弟は、またしても非日常を体現する役でした。 堅実な両親とまじめな兄の家族にこの弟みたいな子供が育つということはちょっと考えにくい。 デビッド・モースの凡庸な風貌と、ヴィゴの危ない表情は水と油のようになじまない。 映画の中の時間は本当に日常のレベルの平板さなのですが、 その中に異物のように弟ヴィゴがやってくる。 しかし、日常はゆるがない。 この映画を監督したショーン・ペンがいったい何を描きたかったのか、 私にはよくわかりませんでした。兄の日常をよしとしているのか、非日常の弟に共感しているのか。
本当にロクデナシなので、同情の余地はなく、感情移入もできないのですが ヴィゴの顔は、鋭くてきれいで、感情を見せない冷たさを表現することが上手でした。 兄と弟はお互いに愛情を感じながらも、道が交わることなく離れていってしまう というお話でした。(ずっと仲良く暮らしましたという展開も想像がつかないけれど) もうちょっと何かが変わる話ならまだ救いがあるんだけれど。
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