ヘンリー・ジェイムズの原作を『ピアノ・レッスン』のカンピオン監督が撮った作品。 主人公のイザベルにニコールキッドマン。イザベルの夫にマルコヴィッチ。 彼女に思いを寄せる男たちの一人をヴィゴが演じています。
ニコール・キッドマンの作品を見るといつも、あああ、大根と思ってしまうのですが、 今回もこんなに軽くてどうするんだろう、と思って見始めました。 ところが!さすがカンピオン監督。 自分のバカさ加減に気がついていない利口ぶった女の子が 趣味人(ディレッタント)を気取った、狭量な男にだまされていく様子を描くのに こんなにぴったりのキャスティングはない、という仕上がりです。 彼女には凡庸に見えた愛情がこのうえなく貴重で、 素晴らしく見えた教養がまがいものであることが、だんだん明らかになっていく。 自分から何も生み出さず、他人を利用して望みをかなえようとする人間の醜さを知って おバカだった女の子は真実の愛に気がつくというような話でした。 まあ、それもおとぎ話の一種だけれどね。 マルコヴィッチの曲者ぶりとか、その愛人役のバーバーラ・ハーシーの魅力には貫禄があります。 19世紀の服飾や室内装飾がたくさん見られて、とても楽しい。
ニコール・キッドマンはあまり好きではないのだけれど、 最後、涙でくしゃくしゃになった顔はかわいかった。 思うに、彼女は、自分のセルフイメージを誤解しているのじゃないだろうか。 そういうものにとらわれなくなったら、素敵だと思うんだが。
ヴィゴの映画の追っかけをしていて、思わぬ拾い物をしたような気分になった一本でした。 ヴィゴは、ヨーロッパのでかだんす〜みたいな世界では少々浮いてしまうかな? アメリカ人の役だったから、言葉はあのままでいいんだろうけど、ちょっと違う感じがしました。 でも、いろんな女優さんを相手にしてるなあ、と妙なところで感心したり。
Cinema Clip:ある貴婦人の肖像 www.sankei.co.jp/mov/review/97/0120portraitof.html
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