ニッキ ゆり 【HOME】
- 2004年05月17日(月)
マクドナルドで泣きそうになったのは初めてだった。
仕事場の同じ年の彼女と閉店業務をこなしていたら
「そういえば、ゆりさんと閉店2人なの初めてね」と言われて
気がつけばこの2ヶ月、この彼女と一緒になることはなかった。
彼女はとても落ち着いていて、品行方正というコトバがぴったりだった。
タバコを吸ったりお酒を呑んだり、夜遊びにでかけるワタシのことを
「とても自分を持った人だと思うわ。私の周りにはいないもの。」と言う。
彼女は祖父母に育てられ、アルバイトの経験もなく、今の仕事に飛び込んだという。
自分が接客をしていることが信じられないと言っていた。
けれど、とても楽しいわとにっこり笑って話していた。
彼女はとても不思議な雰囲気を持っている。
初めて2人で閉店業務をしながら、とっても安心しきっているワタシがいた。
ファックスが上手く送信できず、疲れていたので床に座って2人で
「ご飯食べに行こうか」「そうですね」「あなたのこと、知りたいわ」
と会話をかわして、ファックス送信後、マクドナルドへ行った。
そこでもワタシは不思議と安心した気持ちでいっぱいだった。
それは彼女がワタシの周りにはいなかった性格の持ち主だったからだ。
でも彼女はワタシのことを「とても楽しそうな人ね」と言って笑った。
彼女のコトバがすんなりとココロの中に入ってきて
ワタシの精神状態を真っ直ぐにしてくれた気がした。
「何が解るって言うの。たったそれだけの期間で。答えを出すには早すぎるわよ」
と、最近の恋愛事情について言われた時、彼女の怒涛の2年間の話を聞いていたあとだったのもあって
ワタシはワタシのしてきたことをとても悔やんだ。
だけど彼女はこう続けた。
「今出来ることをするのよ。
そうね、あなたなら洋服が好きなんだから
好きな洋服を思いっきりおしゃれに着こなしてみたり
お化粧をしっかりしてみたり、毎日の小さな出来事を細かくやってみたら?
そうすれば時間はあっという間に過ぎていくわ。
あなたはあなたらしくあなたの生活を送ることを忘れないで。」
涙がこみ上げてきて、どうしようもなく、泣きたかった。
「泣いていいのよ。私しか見てないわよ。」
でも、やっぱり人前では泣けなかった。
彼女にワタシの昔の話をほんの少しした。
薬に頼っていた頃の話や、高校生の頃の話や、最近の話を
掻い摘んで話していった。
彼女に知ってもらいたいと思うようになっていた。
帰り道、音楽をガンガンにかけていたにもかかわらず
ワタシは泣きながら歩いて家に帰った。
ワタシはもっと出来るはずだと思ったし、出来ると思っているし
先のことを考えたら今の我慢や涙なんてちっぽけなものなのだと思った。
素直に、そう思えた。
彼女の怒涛の2年間は先のこと、言わば今の穏やかな生活を手に入れるためには
必要なことだったし、絶対に手に入れたいと思ったものを手に入れて
この上なく幸せを感じているのならば
本当に小さなことだったのかもしれない。そして、とても必要なことだったのかもしれない。
ワタシは彼女のような強さや直向さや謙虚さは持ち合わせていないけれど
ワタシなりのワタシの強さや直向さや謙虚さは必ずあるのだと思った。
ワタシは前を向けるのだと
この先の長い長い幸せがあるのだと思うと
今を、今の「とても苦しい」を軽く出来ると思った。
大切な人に「側にいるだけでいい」と言われることは
今の彼女にとってこの上なく幸せでやっと手に入れた大切な宝物なのだと思った。
今の幸せをずっと待ちわびて2年間を過ごしていたのだと思うと
ワタシは本当に何も解っていなかった、何をしてきたんだろうと
ワタシ自身のことをとても考えさせられた。
そして、ワタシをもっと好きになりたいと思った。
ワタシは彼女のことをもっと知りたいと思う。