unsteady diary
riko



 ガレとドーム兄弟とイイノナホ

渋谷Bunkamuraで開催されている「エルミタージュ美術館秘蔵 エミール・ガレとドーム兄弟」展に行ってきた。
アール・ヌーボー、それもガラスに特化した展示というだけあって、客層もいかにもアート系の人ばかり、中には一人で来ている男の子などもいた。

3時間ほどかけて100点余りをじっくり見てまわる。
中でも、今回の展示の目玉であるエミール・ガレの「トケイソウ」は素晴らしく、誘蛾灯に吸い込まれる蛾のごとくふらふらと引き寄せられ、長いこと向き合った。
ドーム兄弟の「チューリップ文花器」も思わず触れたくなったほど。
ガラスという硬質なものでありながら、やわらかかったりあたたかかったりして見える。その質感にひたすらうっとりして過ごした。

図録を買って外に出ると、アート関係の本屋があって、そこでイイノナホさんという硝子作家の「水と空のあいだに」という作品集に出会った。

まず印象的だったのは、その帯の言葉。

「彼女のガラスはやわらかそうに見えるから不思議だ。」

彼女の夫であり、世界的なテキスタイル・服飾デザイナーの皆川明さんの言葉。(ミナ ペルホネンのひと)

そしてページを開いてみれば、もう言葉もなくただ見入るばかり。

代表作といわれる「クローバー」という作品は、透明の卵型のガラスの真ん中に黄緑色のクローバーがぷっかり浮いているペーパーウェイト。
もう一つ素敵だったのは卵型のまんなかに黄身だけがぽかんと浮いている「カラノナイタマゴ」という作品。

ガレのように妖しいまでの美しさはないし、ラリックの貴婦人のようなフォルムもないけれど、もしも傍にあったなら、日常をさりげなく気持ちよくしてくれるだろう、いとおしい作品の数々。

「クローバー」は一部ビームス等で販売しているそうなので、今度探してみたいと思う。

2006年08月20日(日)
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