unsteady diary
riko



 猫がきた日

子供のころ、猫がほしかった。
団地住まいで無理だとわかっていても、
ダンボールのなかで何度か拾った猫を飼おうとした。
放課後、どきどきしながら、隠し場所に給食の残りを持ってゆく。
そこにいたら、今日もハッピー。
いなかったら、泣いた。
夜になっても朝になってもいっしょにいられる場所がほしいと思っていた。

一戸建てに引っ越すとき。
たったひとつの約束は、猫を飼うことだった。
だけど、事情があって、それはかなわなかった。
そのうち、猫をほしいとは思わなくなった。
自分で精一杯になり、すこしずつ鈍くなり、いろんなことを忘れた。


数日前、病院の帰り道、灰色猫に一目ぼれした。
もうあの子じゃなくちゃいらないと思った。
「おうちにつれて帰って」、と彼女の目が語っていた(気がした)。

今日、母が引き取ってきた。
お店では「スコやん」と呼ばれていたらしいので、
恵みの雨であり、気性の激しさからもぴったりな「スコール」にしようと勝手に考えた。
可憐なスコティッシュのイメージとはまるで関係のない名前で、
本人が気に入るかどうかは、また別の話。

ほんとうにまだちっちゃいので、(生後2ヶ月)
腕の中にすっぽり収まってもぞもぞしている。
とにかく好奇心旺盛で、なつきまくる。
私に頼り切って、ざらざらの舌で指をなめるそのしぐさ。
こんな小さなものが一生懸命ごはんを食べてミルクを飲んで、
一生懸命毎日生きている。
守らなくちゃ、と思った。
ダウンしてる場合じゃない。
うん。

2001年10月17日(水)
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