今日バスに乗ると、双子のような少年二人が、
さっかの真後ろの席で、窓の外を見ていた。
小学校三年くらい。
この報告のため、おかんに
「今日バスでガキが!」と切り出したら、
「お前はガキの敵やなー」と返された。
おお、違うんだ!
今夜のガキは100点満点なんだよ!!
話しを戻そう。
少年の一人は歌い出した。困ったもんだ。
しかしそのガキの声は、元気な子供の歌う、
例の騒音ではなかった。
や、やさぐれている……。
彼はどうでもよさそうな、
くたびれたメロディラインでこう歌った。
「明日があるさ 明日がある
どうして俺は頑張ってるんだろ〜
家族のため 自分のため
答えはかぜのなかぁ〜…」
そ、そんな、
やさぐれまくっちゃった歌い方……
バスの運ちゃんもここにいるおっちゃんも、
みんなみんな男泣きに泣いちゃうぜ!?
そうして適当きわまりない雰囲気で彼が歌う横で、
もう一人のガキが、窓の外を眺めながら言った。
「あーやばい…俺働かなきゃ、大きくなったら……」