| ビー玉日記 | きのう もくじ あした |
2005年08月27日(土) 自宅の隅で助けを叫ぶ よく晴れた夏の朝。 さ、今日も一週間分の洗濯物が私を待っている。 さわやかな気分で網戸をがらりと開けた。 しかし、これが人生最悪の朝の幕開けだったとは、 誰が予測しただろうか。 嵐で薄汚れたベランダの洗濯機を水で洗い、 台風のために部屋の中に山にしていた(いつもは洗濯機の中で待機)洗い物を洗濯機に投げ入れる。 この前飲み物をこぼして汚してしまった床のラグも洗おうっと。 と、そこに黒光りする生きた化石がぴたりと張り付いていたではないか! スローモーションでヤツは白いラグと共に洗濯機の中に吸い込まれていった。 「うわあああー」 なんということだ。 もう既に洗濯機には下着やらお気に入りのカットソーやらが投入され、 水もどうどうと滝のように洗濯槽に流れ落ちている。 頭の中でその後のことを考えた。 このまま洗ってしまおうか。 でもでも。 このまま洗う→ヤツの羽や触覚が散らばって洗濯物とシェイク ぎゃあ。 それは大惨事。 ゴキブリオンナになるのはいやだ。 「森崎さん、なんかついてますよ」 って親切な誰かが服の背中についた触覚をつまんでくれたら。 触覚ならまだしも、羽なんかだったら。 ……失神する。もうお嫁にいけない。 一度洗濯機の蓋を閉め、網戸をぴたりと閉じて、胸に手を当てた。 落ち着け。 心の中では、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」のCMのシーン。 「助けてください!」 でも、悲しいことに誰にも頼れない。 今なら洗濯機のヤツを拾って捨ててくれた人には一万円払ってもいい。 でもそんな誰かが現われる可能性は0よりマイナス。 自分でやるしかありません。 闘え。闘うのだ。 なぜか頭の中は「北斗の拳」のテーマ曲。(こんな自分がイヤ。) ホントに「お前はもう死んでいる」だったらどんなにいいだろう。 でも水に濡れたくらいで死に絶えるヤツだったら、 人間より遠い昔から生き残っているなんてことは有り得ない。 もしかしたらヤツらは泳ぎがうまいのかもしれないし。 台所から割り箸とビニール袋を持参し、ベランダに向かう。 あーあ。これが洗濯機じゃなきゃ、見なかったふりとかできるのになー。 台所だったら排水溝に追い込んだり、なにかしら方法はある。 よりによってなんで洗濯機なんだよ。(怒) 水を止め、問題のラグから次々に引き上げて竿にひっかけていく。 ヤツめ。 私の下着の上に、触覚をゆらゆらさせて余裕で鎮座しているじゃないか。 許さん。 むかつき度100%。 私の闘争本能に火がついた。 えいっ。と思い切って割り箸を使うが、敵もさるもの。 私のとろい箸使いなどものともしないでするりと身をかわす。 しかもちょっと飛び上がりやがった。ぎええ。恐怖。 (羽が濡れているので滞空時間は短いらしい) 私はコイツはなかなか手強いと悟り、作戦を変更した。 投入した服を全てバケツの中に引き上げ、水攻めといく。 水が溜まったところで水槽の中を見るが、予想に反してヤツの遺体が上がることはなかった。 私の思う以上に知能レベルが高かったのだ。 通常通り水を入れたのでは届かない水槽の一番上の溝に忍者のように張り付いて、やはり触覚をゆらゆらさせている。 やるなあ。 ここまでくると知恵比べだ。 私は洗濯機につないだホースを外し、水を直接水槽に流し込み、ハイターを動員。 たっぷりの水とハイターに託して洗濯機のスイッチを入れた。 ハイターの容器の「まぜるな危険」と「除菌」の文字だけが頼みだ。 祈るうちに、かき混ぜと脱水が終わった。 洗濯機の蓋を開けた。 ぷんとプールと同じ塩素のニオイ。 これは効き目がないはずがない。 ところが、洗濯槽の内側に何かが張り付いている。 げ。触覚。まだ生きておったか。 ……と思ったらそれは私の髪の毛だった。 ヤツの姿はどこにもなかった。 完全に消えていた。 一体、どこに。 恐怖、再び。 絶対に網戸は開け放しにすまい、と心に決めた。 「ラストサマー」でも「13日の金曜日」でも、 ちゃんと怖いヤツは生きていてカムバックしてきたじゃないか。 ああー。いやだ。気持ち悪いよー。 誰か助けてくださーい。 ★豆知識★ 調べてみたら、ゴキブリは人間の食べ物だけじゃなく、泥や紙も食べるそうだ。 食べ物を出しっぱなしにしなくても、本があるだけで居座られるということか。 しかも水さえあれば餌がなくても1ヶ月は生存でき、電話機の中とかコンセントの中に住み着いて火事を誘発することもあるらしい。 恐るべし、ゴキブリ。 ちなみに、「コガネムシーは金持ちだ」の歌の「コガネムシ」はゴキブリのことなんだって。 お金持ちの家に現われるってことか。 でもちっともうれしくないぞ。 |
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