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■ ドラゴンランス伝説〈6〉<奈落>の双子/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン
『ドラゴンランス伝説〈6〉<奈落>の双子』/マーガレット・ワイス (著), トレイシー・ヒックマン (著), 安田 均 (翻訳) 単行本: 272 p ; サイズ(cm): 22 出版社: エンターブレイン ; ISBN: 4757721374 ; 6 巻 (2005/01/28) 内容(「BOOK」データベースより) 〈奈落〉でついに暗黒の女王と対峙したレイストリン。一方、パランサスの攻防戦のまっただなかへ、キャラモンとタッスルが帰りつく。タニスと再会した2人は、キティアラ軍団に苦戦を強いられたソラムニア騎士団を残し、浮揚城塞で、(上位魔法の塔)をめざす。レイストリンの帰還が目前に迫っていたのだ。すでに〈塔〉では、レイストリンを迎えるためにやってきたキティアラとダラマールが壮絶な死闘をくり広げていた…。双子の愛をみごとに描きぬいて大団円を迎える〈ドラゴンランス〉シリーズ、感動の完結篇。
<竜槍戦争>以来、息を潜めて機を狙っていたキティアラが、とうとう動き出した。死の騎士ソス卿の軍勢を伴い、パランサスを襲う。黒ローブの魔術師ダラマールの助けを借り、それを迎え撃つつもりでいたタニスは、キャラモンとともに上位魔法の塔に向かうのだが、そこでレイストリンと結託しようとしていたキティアラの死に出会うことになる。
ダラマールとの戦いで、致命傷を負ったキティアラは、愛していると言いながらもタニスを殺そうとする。昔の愛人の死を目の前にして、タニスの心は動揺するが、読んでいるほうは、キティアラなどに関わりをもたないでほしいと思いつつ、ハラハラしながら読んでいる。
ついにキティアラが絶命した時には、安堵にも似た気持ちがわいてきた。キティアラには魅力があるのだろうが、高潔なはずのタニスが、なぜこんな邪悪な女に惹かれてしまったのかと、そこに人間のまたは男の弱さを見た気がする。二人の間には、実のところ真の愛など存在しておらず、単に欲だけしかなかったのだから。
さて、<奈落>に入り込んだレイストリンだが、ここまで読んでも、彼の本当の野望とは何なのか?どうもはっきりしない。神に代わって、世界を支配したいためなのか?だが、最初に思ったとおり、レイストリンは心の底まで邪悪ではなかった。結局自分自身を犠牲にし、世界を救ったのだ。兄のキャラモンも、最後に弟への愛を犠牲にし、レイストリンを残したまま<奈落>の扉を閉じる。この選択により、やはり世界を救うのだ。
レイストリンと一緒に<奈落>に入ったレディ・クリサニアは、ここまで真に信仰心があるとは言えず、レイストリン同様、心に野望を持っていたのだが、レイストリンに代わって<奈落>で瀕死の状態にあるところを助け出されるが、彼女の目は潰れてしまっており、永遠に闇に閉ざされることとなった。だが、そのおかげで、真実が見えるようになったのだ。
ともあれ、レイストリンが真に邪悪でなくてよかったとほっとした。暗い話に、ケンダーのタッスルホッフ・バーフットが明るさを加えてくれたのが救い。それと、タニスはもうキティアラに悩まされずにすむのだと思ったら、これもまたほっとした。
2005年04月26日(火)
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