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■ ルーゴン家の誕生:ルーゴン・マッカール叢書/エミール・ゾラ
内容(「MARC」データベースより) 1851年12月7日、サン=ミットル平地で蜂起軍に参加しようとするシルヴェールの登場で物語は始まる…。バルザックに対抗して構想された、「遺伝と環境」をキーワードとする小説群・ルーゴン=マッカール叢書の第1弾。
※画像は原書 『La Fortune Des Rougon』
物語は1851年12月7日、サン=ミットル平地で蜂起軍に参加しようとするシルヴェールの登場で始まり、12月14日、同じ場所でシルヴェールが諸兄されたところで終わる。この平地はかつて墓であった。墓は満杯になり町の反対側に新しく作られることになり、遺骨の発掘が行われ、何の宗教的儀式もないまま運ばれていった。長い間、旧墓地は放置され自然の浄化作用を待ち、やがて公共の空き地として住民に利用されるようになった。聖なる地が俗化し、蘇り、新しいサイクルがはじまった。まさに「ルーゴン=マッカール叢書」20巻の巻頭を飾るにふさわしい設定である。叢書はルーゴン家から出た一族が様々に枝分かれして、社会のあらゆる階層に根を張っていく様子を各巻で描く構成になっている。一族の一人、パスカル博士は科学者として五世代にわたって一家の人々を研究観察し、記録していた。最終巻において、その母親フェリシテは研究成果が世に出ることを嫌い、膨大な記録を記したノートを焼却してしまう。ちょうど墓を空き地にしてしまったように。そして新しい家系の循環が始まる。
(中略)
『ルーゴン家の誕生』は叢書に登場する主人公たちの紹介とも言える。
(中略)
単なる家系図ではなく、それぞれの生涯のダイジェスト、遺伝のタイプつきである。それゆえゾラは読者の興味を殺ぐことになるからと、公表を延ばしたのである。─(訳者あとがきより)
「ルーゴン・マッカール叢書」については、何の知識もないので、本書がどのような役割を果たしているのか正確な判断はできないが、上記の訳者あとがきにあるように、その後の物語に登場する主人公たちの紹介であるということである。「読者の興味を殺ぐことになるから」というゾラの推測は正しいと言える。このあと、20巻にもおよぶ「ルーゴン・マッカール叢書」を読む気にはなれない。
しかし、たまたま気分が乗らないのと、フランス革命関連の物語に飽きが来ていたこともあり(デュマやユゴーなどの作品を集中的に見たり読んだりしたため)、丁寧には読めず、これもざっと読み。もっとじっくり読めば、その後の物語にも興味がわいたかもしれないが、英語圏以外の小説の固有名詞を頭に入れるのが面倒で、今現在は、まるで興味がわかない。それと、個人的な好みでしかないが、フランス革命時期の話は、どうも好きになれない。
翻訳もまた、ああ、古典の翻訳ってこうなんだよねとがっかりしてしまうようなものなので、ここでもまた翻訳の壁に突き当たってしまった。会話部分以外はいいのだが、会話でいつもがっかりさせられるのだ。またか!と。どうせなら、『アイヴァンホー』のように、思いっきり時代がかった口調であったほうが、まだいい。変にくだけていたりして、新しいのだか、古いのだか(古いんだろうが)、どうにも奇妙で落ち着かない、すんなり入り込めない文章なのだ。これはなにも本書に限ったことではないのだが。
2004年09月28日(火)
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