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■ ファウンテン・ソサエティ/ウェス・クレイヴン
出版社/著者からの内容紹介 全米ベストセラー!『エルム街の悪夢』『スクリーム』を手がけたホラーの帝王ウェス・クレイヴン初の小説!
●暗号名<ハンマー>兵器開発に於いて最高級の頭脳を持つ天才物理学者ピーター・ジャンスが指揮を執り、原爆以上の破壊力を持つ新型兵器を開発しようとしていた。
●暗号名<ファウンテン>遺伝子工学の第一人者フレドリック・ウルフが指揮する最高機密プロジェクト。計画の全貌を把握しているのはウルフただひとり。
エリザベス・パーカーは偶然の出会いからハンス・ブリンクマンに魅かれ、妻あるハンスと深い仲になる。強い絆を感じながら愛を深める二人。だが、その背後には、本人たちも知らない大きな秘密があった……。兵器開発と遺伝子工学、そしてロマンス、螺旋のように絡み合うストーリー、そして<ファウンテン計画>の全貌とは? 禁断の領域に踏み込んだ科学は、いま神の高みへと昇ろうとしている……。『エルム街の悪夢』の恐怖、『スクリーム』の驚き、『ミュージック・オブ・ハート』の感動、そのすべてがここにある!
「ホラーの帝王が書いた究極のエンターテインメント!」って言うから、どんなの?と期待していたのだが、面白いとか面白くないとかの前に、へえ〜、こういう話だったのか、と。
感想を書けば、いずれにせよネタバレになるから書いてしまうけど、究極の兵器開発と、人間のクローンの話(あらかじめ秘密裏にクローンを作っておいて、そのDNAの提供者の命が危うくなったときに、クローンを殺して脳を移植する)。作者のウェス・クレイヴンは、兵器開発もクローン技術も反対の立場で書いている。
兵器はともかく、クローンの問題は複雑だ。自分の愛する人が(親でも配偶者でも子どもでも恋人でもいいが)、生命の危機にさらされ、そこにその人のクローンがいたら・・・。神の領域にまで手を出すのは良くないとは思うものの、正直なところ、何とかこの人だけは助けたいと思ってしまうんじゃないかとも思う。
ただ脳を移植した場合、肉体は若返るが、脳内の血管は古いままだから、しょっちゅう脳溢血とかを心配していなければならない。そこが話としてはオチだな。(^^;
もちろん、結末はそんなことではないのだが、結局どれほど科学が発達しようと、それを壊すのは人間の力でしかないということになるんだろうか。つまり、最後は「カミカゼ特攻隊」のような自己犠牲が、科学に勝つということなのだ。
それと、DNAは同じでも、「個々の細胞が個々の記憶を持っている」という説も取り上げられている。それもなくはないと思うが、でも、飛行機の操縦などしたことのない脳の持ち主が、操縦をしたことのある肉体の細胞の記憶だけで、飛行機を飛ばせるものか?ちょっとまゆつば。
「恐怖」といった面では、そうした科学の発達に伴うエゴイズムが恐怖なんだと思うが、個人的には、脳移植後の「いつ血管が切れるか」という心配が、一番現実的で恐ろしかった。思わず、こちらの脳の血管も切れそうな感じ。
しかし、科学的には非常に詳しく書いてあるのだが、人間のクローンまで作って、脳の移植までできるのに、なぜ脳溢血を救えないのだろう?このあたりに、クレイヴンの想像力の限界が見えてしまった気がする。脳の神経と脊柱の神経を繋げるくらいの技術があったら、脳溢血だって助けられるだろうし、それを防ぐことだってできそうなものだ。
全体としては面白かったと思う。150ページくらいまでは進まなかったものの、後の300ページは一気にいった。でも、「究極のエンターテインメント」とまではいかないんじゃないか?と。ホラー映画の監督に期待していたものとは、ちょっと内容が違ったし。
2004年08月10日(火)
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