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■ 優しさのゆくえ/ダニエル・スティール
『優しさのゆくえ』/ダニエル・スティール (著), 中川 晴子 カバーより サマンサは、ニューヨークの広告会社に勤めるキャリアウーマン。夫のジョンは、かつての大学のフットボールチームのヒーローで、いまはTVの人気ニュースキャスター。華やかなふたりは、地位もお金も、羨望も、手に入らないものはないように思えた。ただひとつ、サマンサに子どもができないことをのぞいては。そんなある日、突然サマンサは、夫に離婚をせまられた。愛人に子どもができたので、彼女と結婚したいというのだ。夫の突然の裏切りと破局。見も心も疲れ果てた彼女は、心の傷をいやすために一人カリフォルニアへと飛ぶ。 ※画像は原書 『Palomino』
マッカーシーなどのカウボーイそのものを描いているものは、「カウボーイ本」と言えるが、こちらのメインはロマンスで、たまたま相手がカウボーイであるというだけのことだから、「カウボーイもの」と言っている。
ダニエル・スティールは今まで何冊か原書を読んでいるが、翻訳で読むのは初めてじゃないか?すごく読みやすいので、原書でもほとんど苦にならないが、この人の場合、あまりにノーマルすぎて、日本語で読むと照れくさくなってしまうのだ。
とはいえ、ダニエル・スティールはロマンスだけを書いているのではないから(ジャンルで言えばジェントル・フィクションになるのだろう)、思わぬところで感動したりすることもあるので、なかなか侮れない。今回の本も、原題は『Palomino』で、たてがみと尾が銀白色でその他はクリーム色の馬のことだ(映画「オーシャン・オブ・ファイヤー」を観たときに知った)。それがなぜ『優しさのゆくえ』になるか、読めばなるほどと納得する。
絢爛たる舞台設定、優美なブランドものの衣装、アンティークな家具などなど、スティールの小説はどれもそういった上流の雰囲気が漂っていて、基本的には主人公はだいたいセレブが多い(逆に言うと、そういうところが安っぽく感じてしまうのだが)。カウボーイの世界を書くなんて、珍しいことかも。もちろん、この本の主人公もセレブなのだが、そのことがカウボーイとの恋愛に支障をきたすことになる。このカウボーイ、男の中の男と書かれているが、個人的にはちょっと気にいらない。そうじゃないだろう、カウボーイって!みたいな・・・。(^^;
フラナリー・オコナーで頭を悩ませたあとなので、こういうストレートに話のわかるエンターテインメントは、気分転換には丁度いい。そういう意味では、シドニー・シェルダンなんかも私は好きだ。こちらが何も考えなくていいというのはとても楽だし、理屈なんかどうでもよくて、とにかく面白く、ひたすら読め進められるといいのがいい。
2004年07月03日(土)
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