読書の日記 --- READING DIARY
 ⇒読書日記BLOGへ
  schazzie @ SCHAZZIE CLUB



 賢い血/フラナリー・オコナー

内容(「BOOK」データベースより)
軍隊から戻ると、がらんとした家には箪笥しかなかった。ヘイズは汽車に乗り、知らない街へ行き、説教師の帽子を被ったまま売春宿に入った。やがて彼は中古自動車の上に立ち、『キリストのいない教会』を説きはじめる―。たじろがずに人間を凝視し、39歳で逝くまで研ぎすまされた作品を書き続けた、アメリカ南部の作家オコナーの傑作長篇。真摯でグロテスクな、生と死のコメディ。


日本人にはキリスト教的な概念を理解できない部分があると思う。そういう意味でも難しい小説だと思った。これは作品全体がキリスト教について言及しているので、それにとらわれずに、というのも難しい。宗教を信じるとか信じないとかはともかく、哲学として考えれば、また違った見方もできるのだろうが、そこまで考える意欲も湧かなかった。

主人公ヘイゼル・モーツが、「神」ではなく「イエス・キリスト」にこだわっているのも、何か意味があったのだろうが、ついに理解できなかった。「キリストのいない教会」と言い張っているのに、キリストの受難に値するような行為を自らに課しているあたり、なぜ?という疑問ばかり。

個人的には、宗教的な部分というより、時々現れるグロテスクな部分が目に付いて、比較対象にはならないとは思うが、そういう部分で、アーヴィングなども思い起こした。アーヴィングのほうが、私にははるかに分かりやすいが。

とあるところに書いてあった感想には、「キチガイ小説の傑作」とあり、実は私も最初からそう感じていたのだが、そんなことを言っていいものかどうか・・・と思っていた。その感想を見たとき、よくぞ言ってくれました!という感じで、そう思っていたのは私だけではなかったと、ほっとした。

普通、巻末の解説などを読めば、作者が何を言っているのか、だいたいは理解できるが、この小説に関しては、解説自体もよく分からない。小説も解説も、文字は網膜に映っているのに、脳に焼き付いてこないという感じ。

ともあれ「BOOK CLUB」でやらなければ、けして読めなかった小説ではないかと思うと、無理しても読んだのは、ひとつの知識として無駄ではなかったと思いたい。

周囲の評判から判断すると、オコナーは短篇のほうがいいようだ。オコナー好きの人によれば、これは素晴らしい作品であるとのことなのだが。。。それと、この作品の翻訳は間違いも多く、あまり良くないということで、できれば原文で読んだほうがいいという話。たしかに、日本語としてスムーズに入ってこないというところがある。上下巻で出た短篇集も、翻訳については評判が良くない。これも原文のほうが絶対にいいということだ。

だが、言語の問題以前に、話そのものに入り込めない状況で、「BOOK CLUB」で課題としていなければ、さっさと投げ出していたかも。そんな状態なので、これを原書で読もうという意欲もわかない。


2004年06月30日(水)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.
初日 最新 目次 MAIL HOME


↑参考になったら押してください
My追加

Amazon.co.jp アソシエイト