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 A Dry Spell/Susie Moloney

内容(「BOOK」データベースより)
農業を主たる産業にしている小さな町グッドランズは、深刻な災厄に見舞われていた。もう四年も、まったく雨が降らないのだ。それが尋常の旱魃でないことは、すでに皆が悟っていた…。その若者は、ふらりとやってきた。彼を呼び寄せたのは、若き銀行支店長のカレン。彼女は瀕死の町を救おうと、この得体の知れない男の不思議な能力にすべてを託す。若者の名はトム、職業は雨降らし屋―さっそく雨を降らせにかかったトムは、すぐにこの町の異常さに気づいた。なにか理解できない力が町を覆い、天候を支配しているのだ。雨を寄せつけようとしないのは何ものか?彼は全力を挙げて見えない敵に挑んでゆく。その頃町では、家屋倒壊や放火など次々に不可解な事件が起こり、住民たちの視線は、よそものであるカレンとトムに向けられた…。意表を突くスリリングな展開、度肝を抜くスペクタクルな対決、そしてかつてない異様な興奮が襲うクライマックスへ!期待の新鋭が放つ、超話題作。


これはミステリかと思っていたのだけれど、実はホラー小説だった。「レインメーカー」(雨降らし屋)というのも超自然的な職業だが、その彼が戦う相手も100年も前にその土地で死んだ女の幽霊。それがそこに呪いをかけていて、4年も雨が降らなかったのだという話。

レインメーカーのトム・キートリーは、ダーク・トール・アンド・ハンサムなヒーローで、登場の仕方は地味だが、最後は素晴らしいヒーローとなる。そこに主人公カレンとの恋愛がからんでくるのは必須。でも、二人の恋愛は、完全なハッピーエンドとはいかなくて、結局ひとつところに落ち着けない「さすらいのメインメーカー」は、再び旅に出てしまうところが、大人といえば大人なんだろうか。ロマンスを除けば、マキャモンにも通じるような部分があるかもしれない。

愛しているなら、どうして一緒にいてくれないの?などとヒステリックに責める場面もないし、あまりに物分りが良すぎて、ちょっと拍子抜けの感じもなくはないが、でも、広いアメリカ大陸のあちらこちらで、トムを必要としている人たちは大勢いるわけだし、超自然的な力は束縛できないと、カレンにもわかっていたのだろう。

ホラー的な描写はさほど多くはないものの、死んだ女の怨念みたいなものは、しっかり描かれている。ただ、なぜそういう怨念が生まれたのかがはっきりしないのが不満といえば不満だった。結局、町を呪ってた女の亡霊って、もともとは誰なの?という、非常に初歩的な疑問が残るものの、全体としては面白かった。呪いのために、4年間も雨が降らなかった町に、やっと雨が降ってよかったね、というところか。

2004年06月11日(金)
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