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 遙か南へ/ロバート・R・マキャモン

出版社/著者からの内容紹介
白血病で余命わずかの殺人犯、顔に痣のある美少女、三本腕の賞金稼ぎ──アウトサイダーにされてしまった者達の癒しを求める冒険
内容(「BOOK」データベースより)
はずみで人を殺してしまったヴェトナム帰りのダンは、余命いくばくもない身ながら逃避行に出た。道連れは顔半分に痣のある美少女に、ダンを追う三本腕の賞金稼ぎとプレスリーのそっくりさん。アウトサイダーにされてしまった者たちは、癒しを求めてひたすら南へ向かう。温もりと恐怖が混ざり合う不思議なロード・ノヴェル。


これは、今まで読んだマキャモン作品の中で、最もアメリカ南部色が濃い作品ではないかと思う。南部の密度の濃い大気や、湿気、バイユーの匂いなどというものが、ありありと想像できるようだ。

主人公は、不思議な力があるわけでもないし、ヒーローというわけでもない。他の登場人物も、誰も超自然的な力を持っているわけでもない。少女が探している「ブライト・ガール」さえも。

しかし、それぞれが普通でないことは、すぐにわかる。登場人物が全部集まったら、ある意味でフリークショーになるかもしれない。

バイユー(沼地)での鰐の密輸など、そういった部分は、カール・ハイアセンの作品を思い出したりもしたが、結局マキャモンは、ここでも人間の善なる部分を描いている。

余命いくばくもないダンは、結局助からないだろうし、顔に痣のある少女も、きれいにはならないだろうが、邪悪な悪意ある世界から離れて、静かにこの世を去ることが、彼らには幸せということになるだろう。

2004年06月07日(月)
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