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■ Miss Hickory/Carolyn Sherwin Bailey
頭がヒッコリーの実で、手足がリンゴの枝でできているというミス・ヒッコリーは、持ち主の一家が、冬の間ボストンで暮らすため、家を出て行くことを知り、大変困る。とうもろこしの芯でできた家は、厳しい冬には耐えられそうにないし、その家さえ、外出中にシマリスの一家に占領されてしまったのだ。途方にくれているミス・ヒッコリーを助けたのはカラスで、嫌がるミス・ヒッコリーを、リンゴの木の上にある鳥の巣へと連れて行く。鳥の巣は、住んでみれば、なかなか良い住まいだった。
だが、ミス・ヒッコリーをずっと狙っている者がいた。リスである。冬に向かって木の実をせっせと集めているリスは、ミス・ヒッコリーの頭がどうにも気になって、鳥の巣の新しい家まで押しかけてきたりするので、油断がならない。
ミス・ヒッコリーが周囲の動物たちと付き合っていくうち、厳しい冬は過ぎ、暖かな雪解けの季節となる。ところが、ある日鳥の巣に戻ってみると、中にはコマドリの親子がおり、ここは自分たちの巣だと言う。途方にくれたミス・ヒッコリーは、リスの穴が空いているかも・・・と覗いてみるのだが・・・。
この話は子供向けなので、楽しいハッピーエンドかと思っていたら、なんと!とうとうリスに頭を食べられてしまうという残酷な最後。人形なので、それで死にはしないのだが、頭を食べられてしまったあと、何かに導かれるようにリンゴの木に登っていくミス・ヒッコリーは、服もなにも脱ぎ捨てて、頭があったところをリンゴの木に差し込むのだ。
春になり、持ち主の一家が帰ってきた頃、リンゴの木には、いつになく花が咲き乱れ、ひときわ花を多くつけている枝は、よく見ると人の形をしている。そう、それがミス・ヒッコリーだったというわけだ。輪廻転生?どこか仏教思想をも感じてしまうような、ちょっと悲しい物語だった。
2004年05月31日(月)
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