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■ ファーストウーマン/ジェニファー・クルージー
内容(「BOOK」データベースより) 長年のキャリアと結婚生活をいっぺんに(それも自分より若い女に!)奪われたら―ネルの場合、まさに悪夢だった。そんな彼女の再起を賭けた新天地は“秘密厳守・法律遵守・秘書とファックするな”をルールに掲げるマッケンナ探偵社。時代錯誤のワンマン男ゲイブと憎めない女たらしライリーの秘書になったものの横領に脅迫、事件の匂いがプンプン。おまけにネルの周囲で死体が次々発見され…かわいいだけが女じゃない!全米大ヒットの最強ロマンティックミステリ。
※画像は原書『Fast Women』
これも予想を良いほうに裏切った本だった。カバーのコピーを読むと、ドタバタな感じがして、結構分厚いし、もしかして途中で嫌になるかもしれないと思っていたのだが、意外に「大人の本」という感じ。
たしかに主人公のネルは、気が強くて自分を曲げない性格で、たびたび探偵事務所の上司と衝突するのだけれど、なんといっても彼女は42歳でバツイチの子持ち。単なるドタバタでは終わっていなかった。というか、ドタバタな感じがしたのは、カバーのコピーが良くないせいだろう。
彼女の少々行き過ぎた行動を救っているのが、マッケンナ探偵社のボスであるゲイブと、そのパートナーのライリー。この二人の渋さが、全体の雰囲気を大人っぽくしていると思う。
内容はミステリで、死体がぞろぞろ出てきたりするのだが、ほとんどロマンスに重きがおかれている。それも、大人のロマンス。犯人は誰?というのを追いかけながら、ネルのロマンスの行方はどうなる?といった興味もプラスされるので、一度で二度おいしいといった感じの読み物。
ただ、あちらもこちらも身内といった状況なので(離婚していたとしても)、人間関係がややこしい。例えば、ネルの親友二人は元夫の兄嫁だったりとか。仕事上でもいろいろ身内が関係していて、これは誰の親戚だったっけ?という感じで、始終登場人物を確認しないといけなかった。
この中で、「ちゃんとごはんを食べさせてくれる男」という表現があるのだが、男女平等とかなんとかは関係なく、「ごはんを食べさせてくれる」という基本的な行為は、生きていく上で、ちゃんと「守ってくれる」、責任感のある男ということじゃないだろうかと思った。
私はか弱いので(?)、やっぱり「ちゃんとごはんを食べさせてくれる男」のほうがいい。お腹は空いてないか?と心配してくれる男のほうがいい。太ったっていいから食べなきゃダメだと言ってくれる男のほうがいい。(^^;
「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きていく資格がない」というフィリップ・マーロウの言葉を、そのまま投げつけてやりたいような男が多い中で、ここに出てくるゲイブとライリーは、非常に魅力的。
2004年05月28日(金)
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