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■ ダルタニャン物語(2)妖婦ミレディの秘密/アレクサンドル・デュマ
解説 王妃をみごと救った四人の銃士たち。しかし、新たな闘いが始まる。枢機官から受けた密命を銃士たちに妨げられたミレディ女史は、汚名を注ぐべく四人に復讐を誓う。世にも稀なる美貌と悪事の才能を駆使して、英仏のにらみ合い、枢機官と銃士隊長の高まる緊張関係の中で、政界を暗躍する。英国の宰相を暗殺せしめ、さらにはダルタニャンから恋人を永遠に奪い去るという悲劇が次々に巻き起こる。しかし彼女には、四人の銃士のうち一人と、恐ろしくも哀しい過去と秘密があった。やがて訪れる戦慄の大団円と、銃士の苦悩。全ての戦いが終わった後、主人公ダルタニャンは晴れて銃士の誉れとなる。長大なる「ダルタニャン物語」の第一部「三銃士」の完結編である。
第一部のダルタニャンと三銃士のじゃれ合いといった感じから、やっと物語が展開してきた。しかし、ここでは妖婦ミレディが、どのように男を誘惑するかといった手練手管が詳細に語られており、「冒険活劇」としては今いち不満。
ダルタニャンたちの活躍も随所に描かれているのだが、この第二部は、政治的な事柄も、個人的な事柄も、すべてが恋愛による動機で進められている。「冒険活劇」にロマンスは欠かせないものだろうが、どうも動機が不純な感じがして、個人的にはどうしても「フランス人て・・・」という思いが先に立ってしまう。
この第二部で、一番の見せ場は、ミレディがダルタニャンの恋人であるコンスタンス(ボナシュー夫人)を毒殺して逃げ、その後捕まって処刑されるところだろう。ミレディも相当な悪女であるが、そもそもそういう女に簡単に誘惑されてしまう男たちが悪いんじゃないか?と、処刑の場面では、ミレディに同情さえ感じた。
最後に、悪の権化のような枢機官がダルタニャンの活躍を認めて、銃士隊の副隊長にするというのもまた、なんだか迫力がそがれたようで気が抜ける。物語が終わり、三銃士たちが各自それぞれの道を歩んでいくのはちょっと寂しいが、「ダルタニャン物語」としては、今後も三銃士の活躍は続くので、ここで終わりというわけではない。
デュマの語り口はさすがだとは思うが、『モンテ=クリスト伯』と比較すると、ドタバタ喜劇のようで、個人的にはあまり夢中になれなかった。『モンテ=クリスト伯』が普通の芝居だとしたら、「三銃士」はヨシモトのお笑いみたいな感じだ。ただ、三銃士の中のアトスだけが、お笑いに加わらず、モンテ=クリスト伯の雰囲気を漂わせているのが救い。
この話は、もともと「銃士隊副隊長ダルタニャンの覚書」という実際にあった文章をもとにしているらしいので、ルイ13世の頃に、実際にこういう話があったのだろうと思う。というわけで、やっぱり「フランス人て・・・」という思いは消えない。
2004年04月13日(火)
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