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■ The Garden Behind the Moon/Howard Pyle
<MOON COLLECTION>
周囲では頭が弱い子と思われていたベビーシッターの男の子が、靴屋に教えられて、ある日月の道を登って行く。月の庭で出会った女の子と、大人になったら結婚しようという約束をするが、実は彼女は王女であったため、結婚するには大きな冒険を果たさなければならない。その冒険が終わったとき、男の子は見違えるような青年となっており、めでたく王女とむすばれる。
一方王女は、月の天使によって、子どものない王と王妃に授けられた子どもであったが、月の天使は、望みを叶えるかわりに、悲しみを残して行く。王妃は王女を産んだあと、すぐに亡くなってしまった。
Moon-calf Moon-Angel Man-in-the-moon moon-garden moon-house moon-window
などなど、月にちなんだ事柄があれこれ出てきて、例えば月の満ち欠けは、「moon-window」の開け閉めによるものだとか、「Man-in-the-moon」は、それを管理している人だとか、なかなか楽しい想像もできるのだが、やはり恐ろしいのは「Moon-Angel」である。王女の話に限らず、月の天使は地上の命をつかさどっている。彼が現れると、必ず誰かが死ぬのだ。つまり、死神?
月の不思議さをテーマとした児童向けの話だが、月面の状況と、王女と結婚するための冒険が結びつかない。その冒険に関する話もあまり深くは書いていないし、めでたし、めでたしで、幸せに暮らしましたとさ、といった感じで、特に印象にも残らない。
月の満ち欠けは、「moon-window」の開け閉めによるものだなどと書いた以上、もっと荒唐無稽でもいいような気がするし、頭が弱いと思われていた子が、実は純粋な心の持ち主で、純粋な心の持ち主だけが、そうしたファンタジーの世界に入り込んでいけるのだという、いかにもな設定も面白くない。
2004年02月22日(日)
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