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■ 新版 シルマリルの物語/J.R.R.トールキン
内容(「MARC」データベースより) 唯一なる神「エル」の天地創造、大宝玉「シルマリル」をめぐる争い、不死のエルフ族と有限の命を持つ人間の創世記のドラマ。「指輪物語」に先立つ壮大な神話的世界。上下巻をまとめ、著者トールキンの手紙も収録した新版。
<トールキンの手紙> 新版になってだいぶ改訂されたのだが、そのひとつに、トールキンが出版社に宛てた手紙が載せられた。当初トールキンは、『シルマリルの物語』と『指輪物語』を併せて、長大な一大サガとして出版して欲しいというのが希望だったようだが、たしかに『指輪物語』の最後には、自分であえて言うなら、これは短すぎるとあったから、『指輪物語』を単独でしゅっぱんするのは、やはり不本意だったのかもしれない。しかし、『シルマリルの物語』のほうは、まるで歴史そのものだから、読むのも大変だ。読者にとっては、これで良かったとも思えるのだが・・・。
<神話的物語> 「はじめにエルありき・・・」とはじまるこの物語は、旧約聖書でも読んでいるかのような感じ。または、ギリシア・ローマ神話のような感じ。耳慣れない(見慣れない)固有名詞がたくさん出てくるので、それをちゃんと関連づけて理解していくのが大変。しかし、これは他でもないこの地球のことを書いているのであって、架空の話ではあるが、舞台は我々の住んでいる地球そのものなのである。我々が知っている文明のほかに、「中つ国」という文明があったのだと考えるといいかもしれない。
<力の指輪と第三紀のこと> 『指輪物語』を読んでいる人、または映画を観た人は、最後のこの章から読んでもいい。『指輪物語』の中でも語られている、力の指輪の成り立ちと持ち主の推移がさらに詳細に述べられている。特に隠されていたエルフが持っているとされる三つの指輪に関しては、『指輪物語』には書かれていないことも述べられている。また、なぜアラゴルンが王になるのかといったことも、この本全体を通して、その血筋がいかに正当なものであるのかが語られている。代々のデュネダインたちの寿命がなぜ長いのかなど、興味深い謎も、これを読むことで解決される。
2004年02月14日(土)
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