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 トード島の騒動(上・下)/カール・ハイアセン

内容(「BOOK」データベースより)
陽光あふれるフロリダのトード島―「ヒキガエル」という名を持つこの小島で、突然大がかりなリゾート大開発がはじまった。大量に生き埋めにされたカエルたちをよそに、利権渦巻くプロジェクトは進んでいく…さて、おせっかいな環境運動をたったひとりで展開するトゥイリーは、車窓からゴミを投げ捨てるという、許しがたい犯罪行為を目撃した。問題の人物は、やり手のロビイストとしてフロリダ政界で珍重されている、ストウトという男だ。怒りに燃えたトゥイリーの強烈な攻撃がはじまった。

内容(「BOOK」データベースより)
ストウトの罪は、ゴミの投げ捨てだけではなかった。トード島の開発にかかわり、カエルの大量虐殺に手を貸した大悪人のひとりでもあったのだ!ストウトの愛犬を誘拐して、トゥイリーはプロジェクトの阻止をはかるが、相手はロビイストとしての本領を発揮、事態は思わぬ方向に…知事、議員、開発業者から娼婦、殺し屋まで、変人たちが大暴走。入りみだれるプロットは、複雑にからみあいながら、手に汗にぎる抱腹絶倒のクライマックスへ!


ハイアセンお得意の環境問題のからんだミステリー。とはいえ今回の話は、それが結構しつこく描かれている。それというのも、主人公クラスのトゥイリーという男が、環境問題オタクのような人物だから。いつものごとく、どうしようもない悪徳政治家や、ちょっと変わった女たち、それとハイアセン小説の名物にもなっている、元フロリダ州知事スキンク(ニックネームだが)が登場。雰囲気は例によって例のごとくといった感じ。

ハイアセンの小説では、ひょんなところでひょんな人が殺される。それも死体がバラバラにされたり、生き埋めにされたりと、結構残虐なのだが、ハイアセンは殺人に重きをおいているのではなく、あくまでも環境問題や腐敗政治について描いているので、どういうわけだか殺人が「ちょっとゴミを捨てた」くらいの感覚で書かれている。

しかし、今回は「ちょっとゴミを捨てた」が大問題になっているのであって、環境問題オタクのトゥイリーが執拗に「思い知らせてやる」と息巻く原因となっている。元知事のスキンクもとんでもない変わり者だが、トゥイリーもまたどこか狂気に囚われている。それがユーモラスであったり、憎めないキャラクターであったりするのだが、やっぱりかなりおかしい。

物語としては面白かったが、ちょっと細部までしつこく書きすぎている感じがして、ユーモラスだけでは終わらないグロさも感じてしまった。ハイアセンの世界では、誰もが皆変人になってしまうのだが、度を越すと、やはりいただけない部分もある。


2004年01月15日(木)
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