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 ドラキュラ紀元/キム・ニューマン

内容(「BOOK」データベースより)
ヴァン・ヘルシングが斃れ、ドラキュラはついに英国全土を征服した。だがその治世下、吸血鬼の娼婦ばかり惨殺される事件が発生。諜報員ボウルガードは、闇の内閣の命を受け、「切り裂きジャック」追跡に乗りだす。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼の美少女、ジュヌヴィエーヴもまた事件を追いはじめるが…いまひとつの世紀末。虚実ないまぜにして贈る、あの名作の総編。


冒頭を読んだだけで、しばらく中断していたのだけど、この話はすごい!映画「リーグ・オブ・レジェンド」の比じゃないぞ!というのも、『吸血鬼ドラキュラ』の作者のブラム・ストーカーも話の中に登場しちゃうし、ジキル博士やオスカー・ワイルド、ソロモン王のアラン・クォーターメインまで、文学上、歴史上のありとあらゆる人物が登場するのだ。

話は『ドラキュラ』の結末とは全然違って、ヘルシング教授がドラキュラに破れ、ドラキュラがヴィクトリア女王と結婚して、世界中に吸血鬼が増え、吸血鬼もそうでないものも入り混じって生活しているのだ。オスカー・ワイルドは当然吸血鬼だ。当然と書くのも変だけど、なんとなく、ワイルドに吸血鬼はふさわしい気がするだろう。

はっきりいって物語はどうでもいい、それこそバカバカしい話なのだが、とにかくいろんな人が出てくるので(読むほうが気がついていない場合も多いが)、それがどんな状況で登場してくるのかが見もの。というか、そういう人物を登場させることに夢中で、ストーリーなんかはどうでもいいといった感じかも。

<読了>
ともあれ、この本はすごかった!
虚実ないまぜにして・・・って、映画「リーグ・オブ・レジェンド」の比じゃないという感じ。どちらがいいとか悪いとかじゃなく、とにかく歴史上、文学上の実在および架空の人物が次から次へと登場して、びっくり仰天。おそらくその半分も認識していないのだろうが、巻末の「登場人物事典」なるものは、なんと53ページにもおよぶ。

『吸血鬼ドラキュラ』の続編と言われている本書には、オリジナル「ドラキュラ」の登場人物はもちろんのこと、その作者ブラム・ストーカ夫妻までもが物語の中に登場してしまう。歴代ヴァンパイアが揃って登場するし、切り裂きジャックについて、ジキル博士とドクター・モローが話し合っているとか、ヴァンパイアになったオスカー・ワイルドが婉然と微笑んでいるとか、悪魔博士フー・マンチュー、ジャンヌ・ダルク、シャーロック・ホームズ、ゲーテ、ランボー、アラン・クォーターメイン、バーナード・ショー、マダム・タッソー、ルイス・キャロル、ナイチンゲール、アイザック・ニュートン、ビスマルク、ガイ・フォークス、エレファント・マン、ローン・レンジャー、ロビン・フッドなどなどなど・・・とんでもない数の登場人物だ。全部書くと53ページになってしまうので、このへんでやめておくが、これだけの人物がどう描かれているのか、それだけでも興味深い。

結構分厚い本なので翻訳そのものも大変だったろうが、この「登場人物事典」を作るのに、どれだけの時間が費やされただろうかと思うと気が遠くなるし、作者のキム・ニューマンに至っては、11歳で映画『魔人ドラキュラ』を見て以来ドラキュラ映画を漁り続け、ついにこんな本を書いてしまったというのだから、そのはまりぶりは尋常じゃない。何より、どんな映画や本を参考にしたかという覚書を見て、その記憶力のすごさに驚いた。確かに「オタク」は、記憶力が良くなければなれるものではないと思う。映画や本だけでなく、歴史もしっかり勉強してるんだなと、妙なところで感心した。


2003年11月12日(水)
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