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■ 竜の騎士/コルネーリア・フンケ
Amazon.co.jp 絶滅の危機に瀕した仲間たちを救うため、1頭の竜が、伝説の故郷を目指して旅する長編ファンタジー。著者は、ドイツの児童文学作家コルネーリア・フンケ。ベネチアで暮らすストリートチルドレンの活躍を生き生きと描いた『どろぼうの神さま』で、わが国でも多くのファンを獲得した作家である。「月の目」「黄金の竜」といった謎と冒険が散りばめられた本書は、スコットランドやインド、ヒマラヤを舞台に繰り広げられる雄大な物語だ。
銀色の竜たちがひっそりと暮らす谷間に、ある日、1匹のネズミが警告に訪れる。人間たちがダムを造るために、竜の谷を沈めてしまうというのだ。群れの長老は、天にとどくほどの高い山に囲まれた場所に「空の果て」という竜たちの故郷があることを告げる。それを聞いた若き竜ルングは、仲間たちの反対をよそに、「空の果て」を目指す決心をし、コロボックルのシュヴェーフェルフェルとともに旅立つ。最初の目的地ハンブルクでルングを待っていたのは、孤児の少年ベンとの運命的な出会いだった。
竜の谷の災いに象徴されるように、物語を覆うのは、人間がもたらした災厄の愚かしさである。その最たるものが、錬金術によって誕生した宿敵ネッセルブラントだ。その怪物に立ち向かうのは、竜をはじめ、コロボックル、魔神、ホムンクルス(人造人間)、巨大海ヘビである。馴染みのある想像上のモンスターたちと、人間の少年ベンが力を合わせる。そこには、人間自身が生み出した邪悪を打ち破るのもまた、人間の豊かな想像力と知恵であるという著者の力強いメッセージが込められている。(中島正敏)
コルネーリア・フンケはドイツの作家。とてもドイツっぽい雰囲気!と思うのも名前まで。舞台はスコットランドやヒマラヤへと広がる。時代も竜がよく出てくる昔ではなく、現代。ネズミがコンピュータを駆使したり、飛行機に乗ったりと、思ってもいなかった展開なので、ちょっとびっくり。そうかと思うと、錬金術なども出てきて、ファンタジーだからといえばそれまでだが、一体いつの時代の話だろうか?と思う。夢の世界かと思っていると、急に現実に引き戻されるといったところがある。
話の内容は、上のAmazonの解説のとおりだが、ひとつ訂正しておくと、北海道にいるコロボックルなんかは出てこない。猫のような姿の妖精「コボルト」の間違いである。しかし、このコボルトが変にキャンキャンしていて、ちょっとうるさい。マンガ映画によく出てくる、「おしゃべりで短気なおてんば娘」といった趣。これがもっと落ち着いたキャラクターだったら、もっと感動的になっただろうにと思うと、非常に残念。竜のルングも主人公のベンも落ち着いていて魅力的なキャラクターなのに、このコボルトがぶち壊しているといった感じ。ストーリーも展開も面白いのに、そういったところがマンガ的で、がっかりさせられた。イギリスのファンタジーとは違う、ドイツ的な雰囲気は十分あるのだが。。。
2003年11月14日(金)
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