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■ たんぽぽのお酒/レイ・ブラッドベリ
内容(「BOOK」データベースより) 輝く夏の陽ざしのなか、12歳の少年ダグラスはそよ風にのって走る。その多感な心にきざまれる数々の不思議な事件と黄金の夢…。夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にこめられた、少年の愛と孤独と夢と成長の物語。「イメージの魔術師」ブラッドベリがおくる少年ファンタジーの永遠の名作。
夏の始まりは、新しいテニスシューズとか、たんぽぽのお酒とか・・・。鮮やかな記憶を残す少年の日々。その夏、ダグラスが発見したのは、「生きている」ということ。「幸福マシン」とか「グリーンマシン」などなど、町にある様々な機械類は何をするためのものだろう。一風変わった町の人々の日常も交えて、ダグラスの夏は過ぎて行く。だが、そこにはいつも「死」の影がつきまとう。
ダグラスが「死」を意識しているわけではないが、「生きていること」と同じように、「死」というものが存在することを漠然と感じる子供たち。老人はかつて子供だったことがないなど、子供は時間の観念もないのだ。いつか「死」が忍び寄ってくることなど考えもしない。けれども、夏の初めに新しかったテニスシューズは、夏の終りが近づくにつれ、もう宙を飛ぶように走れなくなっている。そうして時は容赦なく過ぎて行くのだ。ブラッドベリの世界には、いつもどこかに影の世界がある。少年の生命の明るい歌声とは別に、気づかないうちにいつか年老いて、そして死に至る漠然とした影が。
2003年08月31日(日)
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