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■ 星を見つけた三匹の猫/ヨルク・リッター
内容(「MARC」データベースより) 体にそれぞれ障害をもつ3匹の猫とネズミの王との火花散る戦い! 天空をさまよう「ちび星」と、3匹の猫が夢に見る「星」の正体とはなにか? 魂の成長を描いた、感動のファンタジー。2000年刊の再刊。
猫、ネズミ、星、月、星座、「彼女」のいる塔・・・。 ファンタジーの要素はたっぷりだが、「魂の成長」とは?
それぞれどこかに傷を持つ三匹の猫がネズミの王と戦い、王には勝ったものの、結局人間によって海に流されてしまう。流れついたところから、三匹が夢に見る「彼女」のいる塔にまで達するのだが、その間に天空をさまよう「ちび星」の話が挿入されている。どのエピソードも、どこかで聞いた、あるいは読んだことがあるような感じがして、先が見えてしまう。どこかで読んだものの中には、私が昔書いた童話まで含まれているのだからびっくりだ。
「彼女」がいる塔は「グランドサークル」を呼ばれるところにあり、そこに至るまでの冒険でも書いてあれば面白いのかもしれないが、あっという間にそこについてしまうので拍子抜け。グランドサークルとは何だろう?翻訳者によれば、仏教の「輪廻」のようなことではないかということだったが、ここに描かれている世界の構図がはっきりしなくて、なおかつそこに天文学を無視した「ちび星」の話が入ってくるので、イメージがつかみにくい。
結局三匹の猫は「彼女」のもとを去り、これまでと変わらない世界へと戻るのだが、あれは夢だったのかな?という終わり方は納得できない。そもそも夢オチは好きではないので、最後に夢かと言われてしまうと、非常に不満だ。猫たちが海に流されて「彼女」のもとに到着するのに、ネズミとの戦いがなくても十分物語としては成り立つ。それぞれのエピソードが全て中途半端で、必然性を感じない。
何を一番書きたかったのか、また言いたかったのか、それもばらばらな感じで掴めなかった。ファンタジーはファンタジーっぽいお膳立てがあればいいというものでもないし、独自の世界観がないと、物語としては成り立たないだろう。結局、内容説明にある「魂の成長」とは何なのか、全然わからなかった。
2003年08月29日(金)
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