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 風と共に去りぬ(1)/マーガレット・ミッチェル

内容(「BOOK」データベースより
アメリカ南部の大農園に生れた、勝気で魅惑的な美貌の持主スカーレットの、波瀾にとむ人生をたて糸に、南北戦争という激動の時代を背景に、いくつかの個性的性格が、あるいはひかれ、あるいは反撥しあいながら変転きわまりない人生のドラマをくりひろげてゆくさまが、息もつかせぬリアリスティックな筆致でえがきつくされ、全世界の人たちに語りつがれ、読みつがれる不巧のロングセラー。


●冒頭の印象

2段組の小さな字なので、なかなか進まない・・・というのは言い訳。実は冒頭ちょっと退屈でもあった。やはりこれ1作しか出さなかったマーガレット・ミッチェルは、たとえばオースティンやデュマなどに比べたら、未熟であると言わざるを得ないのかもしれない。

ようやくアシュレとメラニーの婚約発表までいったのだが、そこまでのスカーレットの描写は、けしてヒロインらしいヒロインではなく、わがままで自己中心的。下手をすれば、ヒロインに共感も何も抱けずに、このあたりで挫折してしまうこともあるだろう。しかし、映画で結末を知っているおかげで、スカーレットのこの比類のない強さこそが魅力なのだと思えるため、とりあえずこの部分は目をつぶっていようという感じかも。

もう少し集中して読めればいいのだが、やはりストーリーを知っているというのは集中力を妨げ、マイナスになるのかもしれない。話もなかなか進んでいかないので、不要な部分を削って短くすれば、もっと面白く、読みやすくなるのでは?という気もしないではない。


●読了してから

3分冊の1冊目は、南北戦争が始まり、南軍の旗色が悪くなって戦火がアトランタまでにまで押し寄せてきたところで終わる。そこまでに、スカーレットはアシュレとメラニーの婚約に対抗して、メラニーの兄チャールズと結婚し、息子ウェードをもうける(え!子供なんていたっけ?という感じ)。チャールズが戦死し、そもそもチャールズに愛情などなく、まだ16歳の若さで未亡人となったスカーレットは、地味な喪服を着て喪に服しているのが耐えられずにいるのだが、その本心をレット・バトラーにさとられ、以来、レットとのやりとりが始まる。レットはまたスカーレットがアシュレに愛の告白をしたことも知っている。いよいよ戦況が悪くなってきたとき、メラニーが妊娠していることがわかり、アシュレとの約束を守るべく、砲弾の飛び交うアトランタで、動けないメラニーと暮すスカーレット。一方、故郷タラでは、最愛の母と妹たちが腸チフスで明日をもしれない状況。メラニーさえいなければ、タラに帰れるのに・・・と思いながらも、メラニーの面倒を見るスカーレットである。

映画などであらすじは知っているが、原作を読んで一番驚いたのは、南北戦争の史実が予想外に詳細に書かれていることだった。少なく見ても3分の1はそういった描写だろう。なるほどこれでは長くなるわけだ。話が進まないなと思っていると、戦争が激化して、いつの間にか数年たっていたりして、あれ?という感じ。でも、アメリカ文学を読むなら、南北戦争のこともちゃんと知っておいたほうがいいだろうと思って読み始めた動機にはぴったりの本だ。もっとも、南軍のほうの歴史しかわからないので、片手落ちとは思うが。

さて渦中の男性アシュレだが、どうもこの人はおとなしく真面目な男性というよりも、ずるい男に見えて仕方がない。スカーレットが愛を告白したときに、はっきりと言えばいいものを、のちのちまで「愛情はある」ようなことをほのめかして、なんだかはっきりしない男だ。レット・バトラーも指摘しているとおり、まさに優柔不断な嫌いなタイプ。なので、アシュレなんかさっさとやめなさいよと思う。

レット・バトラーは、本の描写ではなかなか好みなのだが、映画のクラーク・ゲーブルのイメージが強すぎて困る。あのレットは好きじゃないのだ。顔がしつこすぎる。あの人に言い寄られたら、やっぱり嫌だと思ってしまうので、私の中では二人のロマンスが成り立たないのだ。

ところで、あまり触れられることはないと思うが、この中で一番不幸なのはスカーレットの息子のウェードではないのか?なんとも影が薄い。この先、どんな運命が待っているのか、ウェードに関しては映画での記憶がないので、未知のものというわけで、楽しみだ。しかし、物語全体としては、やはり結末を知っているせいか、夢中で読むという姿勢にはどうしてもならないのが残念。


2003年08月18日(月)
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