|
|
■■■
■■
■ フリップ村のとてもしつこいガッパーども/ジョージ・ソウンダース
絵本です。でも幼い子向けというよりは、大人が読んで楽しめる、あるいは考えさせられる本かも。ジョージ・ソウンダースは『パストラリア』を読んで、好きになれなかった作家だけど、この絵本の感覚は好き。訳がいいのかも。<お世辞じゃなく、ほんと!
「ガッパー」というのは、ウニに目がたくさんついているような奇妙な生き物で、海から上がってきて、ヤギにとりついて(ヤギを食べたりするわけではない。ただひっついているだけ)、怖がらせる。そりゃそんなものが体にびっしりくっついてたら死ぬほど気持ち悪い!その結果、お乳もでなくなり、ヤギの乳を売って暮らしている村人は生活に困ってしまうというわけ。
この村の子供たちは、ヤギからガッパーを取って捨てるという仕事をやらされる。それが毎日毎日大変なのだ。ある日ガッパーどもは、少女デキル(Capable)の家に大挙して押し寄せた。なぜなら、そこが一番海に近かったからだ。そこから事態は変わり始める。。。
取りつかれたら気持ち悪いガッパー。ほんとにとてもしつこいガッパー。でも、私はガッパー好きだなあ。意味もなく物に取りついて、ある程度のことは考えられる脳みそもあって、しつこいくせに諦めも早い。ほんとはガッパーでなく、少女デキルをはじめとする人間のご近所づきあいのほうにテーマはあると思うのだけど、ガッパーのような生き方って楽でいいなあと思う私なのであった。
「たくさんの人たちが同じことを大きな声で言っているからといって、それが真実とは限らない」─これがソウンダースの言いたいことだったのだろうと思うが、私個人は、主人公の少女デキルやガッパーどもみたいな発想の転換ができるということが大事なんじゃないかなと思った。いつまでも古い考え、一般的大多数の考えに縛られて、どうにもならなくなっているのではなく、想像力豊かに、前向きに、発想の転換をして生きていけば、きっとも少し楽に生きていけるはずだと。
2003年05月29日(木)
|
|
|