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 ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹/ジェフリー・ユージェニデス

内容(「MARC」データベースより)
リズボン家の姉妹が自殺した。何に取り憑かれてか、ヘビトンボの季節に次々と命を散らしていったのだった。美しく、個性的で、秘密めいた彼女たちに、あの頃、ぼくらはみな心を奪われ、姉妹のことなら何でも知ろうとした。だがある事件で厳格な両親の怒りを買った姉妹は、自由を奪われてしまった。ぼくらは姉妹を救い出そうとしたが、その想いが彼女たちに伝わることは永遠になかった…甘美で残酷な、異色の青春小説。


姉妹の自殺からかなりの年月が経ち、語り手は当時を思い出して、その衝撃を克明に描く。最初の一人が自殺したあと、次々に自殺していくのかと思ったら、そうではなく、終焉は一気にくる。彼女たちの心の動きは本当のところ何もわからず、語り手とその仲間の第三者の心の動きが緻密に描かれているのだが、ここで、もしかしてこれは覗き趣味?あるいはストーカーではないのか?という疑問を持ってはいけないんだろうな。でも、彼女たちの服や持ち物、匂いまで描いているとなると、一歩間違えば、気持ちの悪い小説になるんじゃないだろうか?

解説に「結局、リズボン家の姉妹を引き裂いた責め苦は、単純な道理に基づいた拒絶に由来していた」とあるが、姉妹が社会を拒絶していたにしろ、社会が姉妹を拒絶していたにしろ、「拒絶」とか「無視」とかいったことは、十分「自殺するに値する絶望」を与えるものだと思う。『朗読者』を読んだときにも痛切に感じたが、こういうことは実際の社会の日常生活にも頻繁にある。そういう意味で、私はこの部分に非常に重たいものを感じた。



2003年05月25日(日)
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