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■ ドラゴン・ガール(BOOKPLUS)/九丹
龍のようにしぶとく、現地の男たちを食い物にする“ドラゴン・ガール”。それが、海外で暮らすわたしたち中国人女性に付けられた呼び名だ。けれど、なにが悪いというの?新聞記者としての仕事も家族も捨ててシンガポールに渡ったのは、裕福になって良い暮らしをするため。そのためなら、娼婦と言われてもかまわない。必ず見返してやるわ──衝撃的な内容に批判殺到! ─カバーより
本書は、中国で出版されると同時に問題作として物議をかもしました。批判の大半は、わたしが中国人女性を侮辱しているという主旨のものでしたが、わたしは自らの経験をふまえて女性のうちにひそむ邪悪な部分を示しただけで、中国人女性を誹謗中傷したつもりはありません。 わたしは、本書の主人公ヘレン以上に自分が清らかな女性だと考えたこともなければ、読者のみなさんや姉妹がヘレンと種類の異なる女性だと考えたこともありません。女性はみな、生まれながらの娼婦なのです。 ─著者あとがきより
アジアの小説には今のところあまり興味がなかったのだが、BOOKPLUSなので惰性で読んだ。
まずカバーの文章にカチンと来た。つまり「欲」のために娼婦になるわけねと。次に著者のあとがき(批判に対する言い訳のようにも思えるが)に、「読者のみなさんや姉妹はヘレンと種類の異なる女性だと考えたこともありません」とあるが、私はそれに対して共感は持てない。たしかに女性の内なる部分に邪悪なものがあるのは認めるが、だからと言って、誰もが嘘をつき、体を売り、殺人までするのか?それは極端な話だとしても、誰もがそんなことを考えているわけじゃない。日本には「清貧に甘んじる」という言葉もある。欲に突き動かされて、自分を貶める女性ばかりじゃないのだ。
全体のイメージとしては、陰湿。読後感は嫌な気分。主人公のヘレンを含め、この先どうなるのだろう?という興味は大いにあったが、彼女たちの目的は、ただいい暮らしがしたいというだけなのか?それも男に頼るばかりで、他人を傷つけるのも平気。自分を磨いて前向きに生きていくという姿勢がない。「見返してやる」とは誰に対して言っているのだろう?シンガポールに行く動機もわからなければ、その先の夢もわからない。
もちろん中国人女性が全てこうだとは思わない。でも、この主人公の性格は嫌だ。こんな女にはなりたくない。
2003年05月16日(金)
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