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■ キッチン・コンフィデンシャル/アンソニー・ボーデイン
キッチンには秘密がいっぱいだ。 夏の避暑地のレストラン・ウェディング。アルバイトの大学生が目撃したのは客も花婿もほったらかして、厨房の裏でシェフとセックスに励む花嫁の姿・・・。たちまち大学を飛び出し、料理の世界に飛び込んだ著者が出会った奇人・変人・荒くれ男に料理界のあの手この手。月曜に魚は食べるな?人を殴り殺せないようなものは鍋とは呼ばない?ウェルダンを注文してくれてありがとう・・・? 超有名店シェフが暴露するニューヨークの喧騒、料理人の手の内。 ――オビより
小説かと思っていたら、オレはこうして一流になったんだ!みたいな自伝。有名な店の総料理長らしいが、今のところ、お客様に本当においしいものを食べてもらおうという気遣いは一切なし。いかに仕事をこなすかといったことばかり。だからアメリカのレストランはまずいのか・・・って感じ。
あとは、これを読み終えるまでに、このシェフに料理の基本姿勢(人に美味しいものを食べさせてあげたいというただそれだけ)が組み込まれることを祈っていたが、結局、いかに仕事をこなすかということに終始し、日本料理や、あるいは家庭料理における基本的な「おいしいものを食べさせてあげたい」という気持ちは微塵も感じられず、またコックたちの賄い料理のひどさは、そのままアメリカのレストランのまずさに繋がっているんじゃないかという気もした。
酒とドラッグに浸り、寝不足でナイフやフライパンを握る。これで味覚がおかしくならないほうがどうかしているだろう。こんなことを自慢げに書いていて、またそういうシェフの料理をおいしいと思って食べているアメリカ人の味覚って、やはりおかしい。この本には料理がたくさん出てくるが、読んでいて、ただの一度も食欲をそそられたことはない。
本としてどうこうというレベルじゃないし、これがアメリカで50週以上もベストセラーになっていたというのは、一種の暴露本であるからということに他ならないと思う。
2003年04月18日(金)
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