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■ ヴァイオレット&クレア/フランチェスカ・リア・ブロック
─ヴァイオレット 暗黒の子。全身、真っ黒の服でキメ、テクニカラーの夢をみる。
─クレア 生ける妖精。薄布と針金でつくった羽を背中にくっつけ、詩を書いて、自分についてまわる闇から必死に逃れる。
─L.A. 美しく、危険な街。花や夕陽が鮮やかに、けれど毒々しく輝き、夢が血塗られる街。
そんな街で、ヴァイオレットとクレアは映画をつくろうとした。世界そのものにむかって、こんな世界であってほしい、という姿を見せ付けてやるつもりだった。そうしたら、世界は変わるかもしれない──蝶の群れが飛び回り、星の光を塗りたくった夜の闇を、ふたりの女の子を載せたマスタングが暴走するような世界に、憎しみも闘いも欠乏も傷みもない世界に。けれど、欲望と野心が友情を引き裂き──。 (カバーより)
ブロックはブロックでしかなく、独特の非現実的な世界(かといってファンタジーというわけでもない)は、いつもと変わらないのだけれど、金原氏の翻訳が、これまたいつもと同じ調子で、いまどきの中学生や高校生がしゃべっているような文体で、ああ、またかという感じに襲われる。
ブロックは好きな作家だけれど、この日本語はいただけない。これが悪いというのではなく、いつも同じ調子なのがいただけない。同じくブロックの『ウィーツィー・バット』で評判が良かったと言って、これは『ウィーツィー・バット』ではないのだ。作家は同じでも、全く別の世界。別の話。
そんなわけで、この翻訳で読んでいると、ブロックもだんだん飽きてきてしまった。そんな作家のはずがないと信じているのだけど、翻訳で読むのはもうやめたほうがいいかも。もっとも、この調子の翻訳が気にいっている人には安心感を与えるだろうが。
2003年04月17日(木)
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