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 アメリカ短編小説興亡史/青山南

副題「―とめどもなくあらわれるアメリカの短編小説をめぐる、めどもなくあられもない断片的詳説」

この本は、ほんとに「とめどもなくあらわれる」アメリカン・ショート・ストーリーに関しての歴史というか、変遷というか、そんなところだろうか。古いタイプの短編小説、新しいタイプの短編小説、そして「Eジン」と呼ばれるネット上で発表される短編小説・・・。短編小説はアメリカの国技であるとも言われているが、毎年うんざりするほどの数が出ている。「グランタ版アメリカ短編小説」や、「ピカドール版現代アメリカ小説」などの有名なアンソロジー本を軸に、短編とは何か、なぜアメリカでは短編が盛んなのかなど、さまざまなエピソードを交えて解説している。

例えば、ジョン・アーヴィングはアイオワ大学創作科でT.C.ボイルを教えていたとか(アーヴィング自身もそこでカート・ヴォネガットに教わっている)、レイモンド・カーヴァーの作品は、ほとんど編集者が手を入れており、それがカーヴァーらしさを出していたとか・・・。

通して読むと、アメリカ短編小説の流れがよくわかる。しかし下段にある注釈(実はここに面白いエピソードがあるのだが)のレイアウト(例えばひとつの注釈の続きがとびとびに何ページも間をおいて繋がっていたりする)が、どうにも読みづらい。これは著者のせいではなく、編集のせいなのだろうが、この部分が気になって、せっかくの本文(あるいは注釈の内容そのものにも)に集中できない。実に面白いエピソードがつまっているというのに、この点が非常に残念。それでも一気に読める面白さは、さんざんなレイアウトの割にはマイナスにはなっていない。


2003年04月04日(金)
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