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■ アイヴァンホー(下)/サー・ウォルター・スコット
ここからはノルマン人(フランス人)の横暴さが描かれていて、憤りを感じる。 欲にかられたノルマン人の貴族に捕らえられたセドリック(ロウィーナ姫の後見人)の一行。それを助けに赴く黒騎士、修道僧タック、そしてロビンフッド。そこには、セドリックと一緒に捕らえられたユダヤ人父娘と共に、アイヴァンホー(ウィルフレッド)もいた。
アイヴァンホーに恋するユダヤ娘のレベッカだが、当時はユダヤ人は非常に差別されており、いかにアイヴァンホーといえども、その気持ちに逆らえない。 にしても、ノルマン人のいやらしさ!下巻に入る前に、ひどいと思われても、これは事実であると、わざわざスコットのただし書きがあるほど。
[合戦] さて、いよいよ合戦が始まり、ロウィーナ姫やアイヴァンホー一行が捕われている城を攻め落とす黒騎士&ロビンフッド。黒騎士の勇敢さもさることながら、お頭としてのロビンフッドの公平さが、ノルマン貴族の欲深さと嫌でも比較され、際立っている。
途中で捕らえたノルマン貴族に密かに正体を明かし、無罪放免にしてやった黒騎士。そのため、リチャード獅子心王はイギリスにいるという事実が広まり、王弟ジョンらは、なんとか王位をとろうと画策する。
この合戦の部分は、とにかく黒騎士がカッコイイ!これで下巻の半分まできたが、アイヴァンホーはいつ活躍するのだろう?武術試合で怪我をして、ずっと寝たきりなのだが。。。
[魔女裁判] 合戦のさなかに、御堂の騎士ギルベールにさらわれた、ユダヤ人アイザックの娘レベッカ。彼女は御堂の騎士団の拠点である修道院に隠されるが、団長の知るところとなり、異教の魔女として裁判にかけられる。
ユダヤ人というだけで汚らわしいとされる時代であったから、いかに無体な証言でも、全てがレベッカの不利となり、いずれ処刑は免れないところまできたが、決闘にて代表戦士を立て、勝てば助かるという望みも出てきた。
相対するのは、レベッカを不幸に落とし入れた張本人、憎きブリアン・ド・ボア・ギルベール。果たして誰がレベッカを救うのであろうか?ギルベールにかなうのは、リチャード獅子心王かアイヴァンホーより他にはないのだ。
いや、ドキドキする場面です。が、ここまで来るのに、偉いお坊さんのラテン語の説教とか、ギルベールの未練たらたらなスケベ心とか、いろいろあって、もう大変。にしても、好きでもない人の手にかかるくらいなら、処刑されたほうがまし!と言いきるレベッカの潔さ!これはちょっと感動もの。
[ロウィーナ姫は?] この物語、アイヴァンホーとロウィーナ姫のロマンスかと思ったら、あれれ?結局アイヴァンホーはレベッカを助けに・・・?ぢ、ぢゃあ、ロウィーナ姫の立場は?ていうか、姫は何処に???
[下巻読了] 魔女として処刑寸前のレベッカの前に現れたのは、怪我もまだ全治していないアイヴァンホー。いかにユダヤの娘とはいえ、自分の命を助けてくれた恩人。どんなことがあっても助け出そうという気持ちで、ギルベールとの一騎打ちに臨むのだが、アイヴァンホーの槍の前にあっけなく倒れるギルベール。彼は自分自身の戦闘意欲の激しさのあまりに一命を賭したのであった。(ええっ!?脳卒中か?にしても、あっけない!)
そこに駆けつけた黒騎士(リチャード獅子心王)によって、御堂の騎士団の不正も正され、アイヴァンホーも父セドリックと仲直りをし、めでたくロウィーナ姫と結婚する運びとなった。
ロウィーナのもとを訪れ、どうぞご主人にお礼を言ってほしいと頭を下げるレベッカ。この礼儀正しく、清廉潔白なレベッカに、思わず涙してしまう。もちろんロウィーナに嫉妬の心があったのは否めないが、そこまで考えるのは「いささか詮索にすぎる」とスコットも書いている。
ともあれ、登場人物が魅力的であり、ドキドキはらはらもあり、エンターテインメントとしても一級品だと思う。面白かった。
2003年01月24日(金)
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