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■ Holidays on Ice/David Sedaris
これはクリスマスに関するエッセイと短編が6つ入った本なのだが、最初の「Santa Land Diaries」で、はまった!おもしろ〜!ていうか、おかしい! この作品は作者の実体験をもとにしたエッセイで、クリスマスシーズンに、百貨店のメイシーズで「エルフ」のアルバイトをしたという話。作者自身のことも含めて、さまざまな人の描写に、思わずニヤニヤしながら読んでいる。 たまたま「クリスマスエルフ」の仕事をしているせいもあって、他人事とは思えない。とにかくヒラリアスだ!
[Santaland Diaries] この話はとにかくおかしい。デパートのサンタランドに訪れる人達を、エルフ役の著者が観察しているものだけど、人間ておかしなものだと思うと同時に、サンタクロースって本当にみんなから愛されていて、サンタなど信じていないはずの大人でさえも、偽者のサンタと知りながら喜んでいるのを読むと、ほほえましい。日記形式(日付はないが)で、おかしいことがあった日、むかつくことがあった日、そしてクリスマスらしく感動的なことがあった日と、それぞれ面白い。
[2編目] パラパラと読んでいたため、なに?という感じだったので、再読したら、すごい話だった。まず、話し手がサンタランドのエルフと同じ人間かと思っていたら全然違って、女性、それももう3人の子どもと、孫までいる年齢の平凡な主婦。そこへ突然、22歳のベトナム人の女の子が来て、あれこれと騒動を巻き起こす。しかも、その子は22年前、夫がベトナム戦争に行ったときにおかした、取り返しのつかない間違いの産物だったのだ。ある日、孫を見ていてくれと頼んで外出したら、孫は洗濯機で洗われて、すすがれて、乾燥機で45分も乾燥させられて、もはや命はなかったというわけ。そもそも受け入れがたい娘を引き取り、クリスマスだってのに、孫は殺されるし、裁判所には行かなくちゃならないし、いったいなんなのよ!という悲鳴。ユーモアたっぷりに書いてあるものの、ぞっとする話なんである。
[読了] とりあえず読み終えたものの、年末のバタバタと騒々しい中で読んでいて集中できなかったため、せっかくのいい文章が、右から左に抜けてる感じ。外国語のユーモアや遊びの感覚を完璧に把握するのは結構難しいし、やはり集中しないと、その面白い部分を掴みそこねる。セダリスの感覚は、個人的にはすごく気に入ったし、このままではもったいないので、またそのうち再読するつもり。
2002年12月28日(土)
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