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 無名恐怖(BOOK PLUS)/ラムゼイ・キャンベル

<内容>
バーバラ・ウォーは有能な出版エージェント。みずからのオフィスをかまえ、毎日多忙な日々を送っている。しかし、彼女は過去に大きなトラウマを抱えていた。9年前、4歳の娘アンジェラが誘拐され、惨殺されたのだ。仕事に没頭し、ようやくその傷も癒えつつあるころ、1本の電話がかかってくる。「ママ、私よ・・・」。それは死んだはずのアンジェラからだった。娘はまだ生きているのか?生きているならいまどこに?その日から母の必死の探索が始まる。えもいわれぬ恐怖がたちのぼる、ホラー小説の巨匠キャンベルの代表作。

BOOK PLUSとしては、初のホラー小説。はなから苦手な分野だが、怖いもの見たさで、他の本は投げ出して一気に読んでしまった。結論から言えば、怖いので途中でやめることもままならず、先に進まざるを得なかった感はあるものの、面白かった部類だろう。原書が出版されてから20年もたつのに、まるで古い感じはない。

何か得たいのしれないものの存在、それが幽霊なのか、キング描くところの“IT”としか言えないものなのか、はたまたカルト教団なのか・・・。このあたりがはっきりしないところが、不気味で怖い。最終的にはその正体は明かされるのだが、「名前がない」というのがキーワードで、キャンベルはル=グィンの<ゲド戦記>の第二作『こわれた腕環』に使われている「ネイムレス=不正、有害、邪悪」といった概念を、モチーフとして使用しているようだ。

キングの『キャリー』を思い起こさせるような超能力の場面、映画『ゴースト』を彷彿とさせる死者の愛など、いろいろとミックスされている感じはするものの、最後まで正体が不明ということで、ラストまで一気にいく。



2002年06月17日(月)
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