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 蝶の舌(BOOKPLUS)/マヌエル・リバス

ラテン文学の短編集。この本が原作となった映画は、大変評判がいいようだ。しかし、映画になった表題作「蝶の舌」を含め、何も残らない本だった。いいとも悪いとも感じない。逆に、悪ければ悪いなりに記憶に留まるから、そういう作品は、それはそれでいいのかと改めて認識させられたような感じ。こんなに何も残らない本というのは、内容が全く記憶に留まらないので、いいのか悪いのかわからない。

なによりも、それぞれの話が中途半端な気がして、どれを読んでもフラストレーションがたまる。そして、さらに言えば、話の意味が不明だ。
短編の名手サマセット・モームの言葉を借りて言えば、日常を切りとって投げ出しただけの、D・H・ロレンス的な作品だと思う。そこに何らかの手を加えてこそ、作家、あるいは小説といえるのでは?という思いがしてならない。オープン・エンディングにして、余韻を残すというのともまた全然かけ離れた作品だと思う。ガルシア・マルケスが最高の小説だ!と誉めている言葉が嘘っぽい。


2001年08月01日(水)
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