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 ハヤ号セイ川をいく/フィリッパ=ピアス

セイ川の近くに住むデビッドは、大雨のあと、川でカヌーを見つける。どこから流れてきたのかと、カヌーに乗って川を行くと、持ち主であるアダムという少年に出会う。カヌーで遊ぶうちに、二人の間は固い友情で結ばれ、やがてアダムの祖先の宝を探す冒険へと発展する。

古き良き児童文学といった趣に冒険・ミステリーの要素が加わった物語。
デビュー作であるのに、ピアスの語り口はすばらしい。よく考えられた筋立てで、子どもがわくわくするような冒険と秘密に満ちている。主人公の二人の少年の性格の対比もはっきりしているし、彼らの家族の情景も目に浮かんでくるようだ。それに、この二人の少年の素直でお行儀のよいこと!私は個人的にこういう少年たちの物語は好きである。

変に悪ぶった不良少年の話は、あまり好きではない。なので、『ハックルベリー・フィンの冒険』などのピカレスクものよりは、こういったwell manneredな子ども達の話のほうが、ずっと心穏やかに読める。

またこの時代、父親の存在の大きさというのは、絶対的なものがあったのだと改めて思った。例え、死んでいようが生きていようが、である。そういった家族の描写を読むのも、心が安らぐような気がする。かなり分厚い本で、途中中断もしていたのだが、半分以降は一気に読んだ。


2001年07月08日(日)
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