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■ ヴァン・ゴッホ・カフェ/シンシア・ライラント
これは児童書のコーナーに置いてあった本である。しかし、おしゃれな絵といい、内容といい、立派に大人が読むに値する本だ。もちろん大人が読む本だからいい本というわけではないが。
カンザス州フラワーズにあるヴァン・ゴッホ・カフェは、その昔劇場だった。だから不思議なことがおこるのだという。カフェをやっているのは兄のマークと妹のクララ。クララはカフェに起こる不思議なことを「魔法」と呼んでいる。
そんな不思議な出来事を書いてあるのがこの本だ。 ひとりでに料理ができてしまう話。マークが書く詩が未来を予言する話。ひとりでに増える不思議なマフィンの話。猫がカモメに恋した話などなど…。不思議だなと思って読んでいると、昔大スターだったエレガントな紳士の話が出てきた。思わず目頭が熱くなった。1時間もあればゆっくり読み終える本だが、しっかり感動する。
誰が主人公というわけではない。それぞれの話のそれぞれの登場人物、あるいはカフェのお客さんが主人公だろう。しかし本当の主人公は、妹のクララに違いない。彼女の好奇心と、不思議な出来事にも動じない飄々とした態度は、あたたかく、ほほえましい。どんな魔法が起こっても、クララは驚かない。なぜなら、ここはヴァン・ゴッホ・カフェだからだ。
2001年06月07日(木)
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