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■ ジャンとジュール(BOOK PLUS)/ルージャ・ラザロヴァ
ジャンとジュールはミュリエルのおっぱいの名前。 彼女のおっぱいは、それぞれに人格を持っており、ミュリエルは気づいていないが、ミュリエルがおっぱいを意識し始めたときから彼女と共に人生を送っている。ミュリエルの生活を通して体験するさまざまな出来事、出会いと別れに対して、ジャンはジャンなりに、ジュールはジュールなりにそれを受け止め、時には批判しながら生きていく。
もちろんミュリエルのおっぱいなのだから、彼らが別の人生を歩むことなどできない。ましてや、人生が嫌になったからといって、自殺など望めないのである。だが、ジャンが死んだ。ジュールを残して、乳がんのためにジャンは死んでしまったのだ。
女性にとって、おっぱいとは何なのだろう。初めて意識した時には、恥ずかしいものであり、隠したいものだったのに、そのうち誇らしいものに変わり、なるべく目立つように気を使ったりするようにもなる。パートナーができたり、赤ちゃんが生まれたりすれば、自分だけでなく、彼らのためにも大事な大事なおっぱいである。
おっぱいが死ぬということは、ある意味では女性の死をも意味することかもしれない。おっぱいは女性に生まれたがゆえに、一喜一憂させられるもの(それは男性が男性に生まれたがゆえにということと同様のものであるとは思うが)。
しかし、男性が男性たるゆえんであるものとは違って、おっぱいはその外見だけで、女性の人生を変えてしまったりする場合もある。そんなことを痛切に感じさせられた話である。
2001年06月06日(水)
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