へそおもい

2023年06月13日(火) まるあたま

仕事帰りに気がつけば
あたまがまあるくふくらんで
なにやらおかしなことになっている

頭と首がうまくつながっていないせいか
吸う息も吐く息ももれてしまって
すかすか苦しい

分厚い雲からは万遍なく雨が降っていて
船のエンジン音と共に身体が振動する
身体が振動すると少し遅れて
頭がふらふらと揺れる

いい加減身体が邪魔だ。

身体がないとどんなに楽かと思うのだが
この地球のこの世界に留まるためには
この身体がわたしに与えられた乗り物のようだ。

身体はこれまでの思い込みによって
自分の世界を作り出しその中で生きる仕組みになっている。
その世界で捨てなければいけないもの
乗り越えなければいけないものがある。
ここはそのために巧妙に作られた世界。

やろうと思えばなんでもできる

というのは
まだ身体がなかったころの記憶だろうか。

船はブーンと一回高く唸り対岸へと動き出す。

わたしはなにを乗り越えたいのか。
なにを捨てたいのか。
この傲慢さ。
うつろいやすさ。
必要とされたいという衝動。
無価値な自分への腹立ち。
自分の選ばなかった道への執着。
できないことへの嫉妬。

とてつもなく無力だ。
自分の本体が一体なにをしたいのか
なにをどうすることが身軽になることなのか。
煙にまかれたようにみえない。

子どもたちの進路の話をした。
わたしは
それが苦しい結果になったとしても
自分の道を自分で決めることが
大切なのではないかと言った。

教頭先生は
自分が歩んでしまった道を
よかったと思って生きることが
しあわせなんじゃないかと言った。
それが親や先生が決めた道であっても。

でもどちらにしろ
苦しい結果になるなら
自分で選べた方がいいのかな。

自分の歩んできた道が
どんなであっても
それでよかったと感じるというのは
力がないとできないことですよ。

船が港について
まあるいあたまのまま
雨の中に出てゆく。

傘が壊れて水がもる。

今度の休日に
自分の歩んできた道に
感謝を捧げるお祭りをしてみようか。


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はたさとみ [MAIL]

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