1989年

 1989年。

 ピョンヤンで開催された「第十三次世界青年学生祝典」、そこに唯一「南朝鮮」から参加した林秀卿さんが板門店から帰還し逮捕されました。
 秋にはベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一。
 朝鮮半島とは事情が違うとはいえ、80年代の終わりと共に「世界」が、「時代」が大きく変わり、90年代は明るくいい方向に向かうのではないかとなんとなく思っていた、私は当時小学校六年生でした。

 クラスメイトの女子が光GENJIやピンク色の表紙の少女小説の話題に盛りあがるのを尻目に、ひとりマイケル・J・フォックスと田中芳樹にムチウだった小学校六年生でした。

 流行り始めたカラオケで、小椋佳と加藤登紀子とチョー・ヨンピルを歌っていた小学校六年生でした。

 美術部の幽霊部長(部員3名)で、ラオコーンの石膏像に胸毛と腋毛を書いて怒られた小学校六年生でした。


 1989年。
 クラスメイトとの微妙な差異や齟齬に孤独を感じ、学校教育に疑問や不安を感じたりしながらも、概ね楽しく過ごした小学校六年生でした。

 2004年。
 それを懐かしく思い出す私がいます。
 「時代」が違うのか、環境が違うのか、それとも私が違うのか。
2004年06月04日(金)

メイテイノテイ / チドリアシ

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