またもや「ラストサムライ」について

 美しく清廉な精神文化をもつ侍たちの滅び行く姿。
 製作者はそこにネイティブ・アメリカンへの迫害に感じるような感傷を見出したのでしょう。
 勝元と朝廷との対立が「古きものVS新しきもの」という構図にしかなり得なかったのは、この構図がアメリカ人にとって最も理解し易く、また身近なものだった為ではないかと思うのです。
 如何に描こうと、ハナからこの映画の主題はアメリカ人のセンチメンタリズム以外のなにものでもないのです。そしてそれを描くために、「勝元の大義」は必要欠くべからざる要素にはなり得ないということなのでしょう。

 勘違い、というよりは、認識の相違、でしょうかね。積極的に賛同共感できるかは別として、興味深いとは思いますが、見た後に感じる違和、齟齬は、どうもここらへんに起因しているような気もします。
 ま、尤も、アメリカ映画ですからネ。
 全体的に「うまくない」とは思いますけれど、許し難い違和ではなかった。
 少なくとも私には。

 いやはや、思いがけず長々と引きずってしまいました。
2004年01月22日(木)

メイテイノテイ / チドリアシ

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