三本

 「同朋社会」の公的な場から遠ざかって久しく、あれほどマトモに長時間「母国語」を話したのは、実に数年振りでした。
 不安だったけど、なんとかなるものなのね〜。マ、私が優秀だからということにしてもいいけどな。




 さて、最近観た映画の報告(ネタ切れの苦し紛れとも云う)。


・『二重スパイ』(2003年韓国)

 これはすごい。素晴らしい。
 抑制された空気が秀逸。きちんと制御されていて、人物の心情が細やかにスクリーンに縫いとめられているように感じました。
 これが長編初監督作品だというキム・ヒョンジョンとは一体何者。

 近年の南北問題を扱った韓国映画群を見ていると、イデオロギーの相違が作中そう大きな役割を担っていないことに驚きます。ここで「壁」は、「国家」というイデオロギーのイレモノにある。だからこそ、解決は容易ではないのだけれど。
 イデオロギーを異にしても、共生は可能なのだと、否、戦わずともいいのだと、私もまた、信じたい。



・『8 Mile』(2002年アメリカ)

 カーティス・ハンソン監督は、巧いです。
 小憎らしくなるほど(ラストの主人公の後姿などは特に印象的だった)。
 淡々としているけれどキチンと整えられていて、ラストはこの上なくかっちょよくキメてくれる。
 物語はエミネムの半自伝的半生だそーですが、それを描く型とでも云うのか、骨組はハリウッドの典型的な「サクセスストーリー」のソレですね。予定調和の域を出るものではありません。
 しかし、テは同じでもシナが違う。今回のシナであるエミネムは、非凡な存在感とスキルを見せ付け、割と「型どおり」の展開に説得力を与えているように感じました。
 ラストはエキサイティング!かっくいー!

 それにしても、字幕訳者は大変だったろうなァ。
 韻を踏んだキッツいスラングの飛び交うこの魅力を余すところなく楽しむには決定的に英語スキルが不足しています。トホ〜。



 ・『マトリックス リローデッド』(2003年アメリカ)

 ススス、スミス〜〜!!(笑)
 観ている間、既視感を覚えていたのですが、正体がわかりました。
 「真・三國無双」です(←わかるヒトにはわかるハズ)。
 楽しかったです〜。

 「設定」の説明は前作で済ませ、イヨイヨこれから物語が動き出します。
 今回は「設定」の説明する必要はなく、ストーリー、ネオを、ザイオンを、マトリックスを、動かさなくてはいけない。
 これが前作とは決定的に違う点で、内容がない、とか、空虚だ、とか評されてしまう所以なのだろうけれど、まぁ、それは致し方がないというか、「設定」を説明する必要のない続編の宿命ですね。前作は説明だけに時間を費やしただけに特に。
 「リローデッド」は、映像を魅せながら、きちんと「続編」、否、「中編」の仕事をこなしているように思いました。
 楽しみました。次作も非常に楽しみです。
2003年06月18日(水)

メイテイノテイ / チドリアシ

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