petit aqua vita
日頃のつぶやきやら、たまに小ネタやら…

2003年02月12日(水) 『居場所』(ル神小ネタ)

見渡すかぎりのグリーン、芝のきれいなフィールド。
のんびり散歩できる大きな公園。
美味いフランクフルトソーセージを売っている屋台。
お気に入りのバウムクーヘンの店。
ハンスん家の屋根裏。
カイゼルん家の迷路のような庭園。

ドイツに来てからできた、お気に入りの場所。

そしてもう一つ。
ルディの家のリビングにあるソファ。
それはほこほこと日当たりの良い場所に置いてあって、(夏は涼しい場所に移動する)まさしく、くつろぐにはもってこいだった。
しかも、外国人サイズだからか何なのか、異様にでかい。ルディが思いきり寝転がって、手足を伸ばしても支障がないというのだからすごい。
ハンスが教えてくれたけど、このソファを買う時、ルディはそうやって…つまり、寝っ転がって点検して、それで気に入って購入したそうだ。
……ベッドじゃないんだぞ、おい。

それでも、このソファが居心地が良いのは本当で。
ついつい、お茶を飲むのにも本を読むのにも、このソファを使うんだよな。

そしてそのソファの持ち主はといえば。
俺の膝を枕に、無駄にでっかい手足を伸ばしてくうくうと惰眠をむさぼっている。
こいつ本当に昼寝好きだよな。
ソファを、座るんじゃなくて寝転がって選んだあたりで、このソファはもう、昼寝用と決定されていたんだろう。眠っていない時でも、座っている事などめったにない。やっぱり、俺の膝を枕にして、テレビを見たり、本を読んだりしている。

膝の上に乗るルディの頭は、確かな重みを感じさせてくれて。
鼻や口の辺りに手をかざせば、息が当ってちょっとくすぐったい。
春先のやわらかい陽があたったルディの金髪は、本当に綺麗で。柔らかくて、ふわふわしてて、ついつい、指にからめて触るのが癖になっている。

…俺も相当終わってるなぁと思いつつ、
読みかけの本を閉じて、そっと姿勢を楽にする。
――膝で眠るルディを起さないように。
そして俺は目を閉じた。

慌ただしいシーズン中のオフ。
お互いが居るこのソファが、今一番お気に入りの居場所。


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平 知嗣 [HOMEPAGE]

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