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2003年05月11日(日) 教訓

母が結婚するとき、祖母(母の母)から手鍋をひとつ、手渡されたそうです。
当時は、それが当たり前の嫁入り道具だったとのこと。
手鍋さえあれば、どんな料理でもできると、祖母が母に言ったそうです。

その手鍋を使って、母が父に初めて作った料理は、お味噌汁。
朝食に出てきた味噌汁を、父はごはんといっしょに「うまい、うまい」を繰り返しながら、3杯もおかわりしたそうです。

「そんなにおいしいのか」と、母は父が出かけたあとに味見をしたところ、なんとダシの入っていない、お世辞でも「うまい」とはいえない味噌汁だったとのこと。
そのとき、初めて母は「味噌汁にはダシを入れる」ということを知ったそうです。

その話を聞いた私は、味噌汁にダシを入れなかったことよりも、初めての手料理を味見をせずにだした母と、そんな味噌汁を3杯もおかわりした父に驚きました。


私が東京で一人暮らしを始めるとき、やはり祖母は私に手鍋をひとつ、それから小さな赤い炊飯器をひとつ、買ってくれました。

「鍋さえあれば、なんでもできるよ」

と祖母。
そしてその隣で母は、

「味噌汁はダシを入れるんよ」

ダシを入れない味噌汁がどんな味なのかはわからなかったけれど、「ダシを入れるってとっても当たり前でとっても大事なことなんだ」と思いました。

それ以来、一人暮らしをしたり、結婚したりする友には必ず「鍋ひとつでなんでもできるよ」「味噌汁にはダシを忘れないように」と言うようになった私。

当たり前のことって、あえて口に出して言うことで、その大事さをあらためて知ることがあります。
あのときに祖母と母からもらった言葉は、今も私だけの「教訓」のひとつになっています。

でも「味見をする」ことは、私の教訓にはならなかったようです、ね。

おやすみ。


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