痒痛 ☆ 日記 
お酒と音楽と変人と。菫色の日々。

2003年05月24日(土) 先入観 ボブやらトムやら

うちの向かいに英語をしゃべる外人が住んでいる。
今日おともだちが遊びにきていて、玄関先で英語でおしゃべりしていた。
夕涼みだ。
隣人は、ピンクの肌で頭髪は薄め。おなかのでた、NHK教育で午後6時半頃にやっているファミリー健全アメリカンドラマにでてくる隣人のイメージそのもの、の外見。その友達は、くるくる系の髪でひょろっとしていてメガネをかけ、ドラマの隣人の相棒のイメージそのもの。
そんな二人が寄りかかって話し込んでいるのは、路地のアパートの玄関先。
隣人さんが住んでいるのは、いわゆる貸屋式アパート。玄関入り口はひとつ。住人はそこで靴を脱いで廊下を、階段を、それぞれ自分の部屋にすすむ。各部屋にはまた入り口に鍵があり、そこがお部屋。古い建物ならばトイレは共同。

そのアパートのある部屋に、ものすごく洗濯好きで、布団を干すのも好きな男のひとが住んでいることはまえから分かっていたのです。シジュウ洗濯物がぶらさがっているからね。ふつうより洗濯好きだ、とにらんだのは大物(布団カバーやシーツ、たまにカーテンも)が頻繁に干してあるからです。
このアパートの各部屋にはベランダがないので、洗濯物はとうぜん窓の狭い軒下にぶらさがっているわけです。そしてこの人は、夜中まで洗濯物をとりこまない。また雨が降るともうそのまま出しっぱなし。その後洗い直しているのかは知らぬ。
歩いて20秒のところにコインランドリーがあるのだけれど、この人は乾燥機をつかわない。ポリシーまたは節約魂。
で、昨夏この洗濯好きさんが、ちょっぴりふとっちょの外人さんであることを知りました。件の隣人さんね。毎夕窓をあけて夕涼みしていたのよ。クーラーは・・・なさそうでした。

その姿がその時は似合ないと思った。(たぶん)畳に座って窓の桟にひじをかけボーっとしている姿があまりに親父臭くて、ビジネスホテルでくつろぐおじさんのようであり、またあまりにもいわゆる普通の観光客のような白人なので、そういうライフスタイルを楽しんでいるように見えなかったのです。
でも考えてみるとこのひと結構ながくそこに住んでいる。まめまめしく洗濯をして布団を干して、普通にくらしている。
そして冬は毎日雨戸をしめて寝る。街灯が窓のすぐそばにあるから明るいんだね。閉めた方があったかいし。

みえないけど、まったくみえないけど学生なのかも。
限られた予算のなかで、ルームシェアとか嫌いで、清潔ずきで、あと数年・・・とか思ってけっこう苦にせず布団をたたんでいるのかも。
まったくそう見えないけど、日本文化がすきなのかも。江戸や明治の暮らしを再現するのは無理でも、なにか自分でそう選んであんな風に暮らしているのかも。しかしあのすべてのものをピンチでダラァとぶら下げる洗濯物の干し方に美意識は感じられない。けど、日本の学生がする干し方そのものを学んだと思えば・・・

で、今日彼がお友達と玄関先でおしゃべりをしているのを見て、なんと実にこれが違和感がない。あたりまえな感じで、こういう外人も昔からいっぱいいる感さえ感じる堂々とした立ち話っぷり。いかにもボブとトムってかんじなんだけど、アパート生活が身についてるよ。夕暮れのマジックかしら。浩二と健一ってかんじでした。

変わったひとだなあ、お金がなくて長逗留するには東京はあまりに物価が高いのに・・・と思っていたけど急に隣人に格上げ。彼は知らないけどね。
友人がいることを知ったことで、独りで隠れ住むように路地裏のアパートに住むいい年をした外人、というイメージが薄れたせいもある。
こうなると、プププ変なの、と思っていた昨年の夏の扇風機にあたるボブさえ、ピンクの山下清くんのようで、「よくやってるのお」と微笑ましく思い出したりして。
単純ですねえ。同じような生活様式をがっつり引き受けて暮らしているのにバックグラウンドが想像できないと親近感を抱けなかった。ピンクでちょっと太っているから絶対に学生ではない、と思いこんでいたのです。
がんばって勉強してくれボブ。
でも学生には見えないんだよなあ。アメリカ中西部の町の金物屋か電気屋さんの若くない若主人みたいなんだよね。


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