UNDER CONSTRUCTION

上げりゃいいってもんじゃない
2010年05月01日(土)

GWって何?なんか通勤電車が空いてますけど、時差通勤週間て事ですか?

…ども、今日も明日も出勤のガブです。
3日から3日間お休みもぎ取りましたけどね。

出がらしネタ放出週間 その1(続きません)
探偵物語の一番最初の前フリ話「出会い」(http://ucgb.blog97.fc2.com/blog-entry-5.html)からこぼれたネタを別エンディングっぽくリサイクル。
7年前のネタを今更何故!?出がらしだから、期待しないで下さい。


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「そう。君が君であるだけで愛してくれる人がいたでしょ。また見つけりゃいいじゃん、そんな人」
「……」
そんなエースの言葉にサンジの目からみるみる透明な水が溢れ出す。俯いて声も出さずにただ涙を流し続けるサンジの隣で、エースはただ黙って座っていた。



きっとずっと我慢していたんだろう涙を流し切って、照れくさそうに、でもスッキリしたようにサンジが笑った。子供の様にごしごしと袖口で涙を拭う。

「あ、忘れてた!」
「どしたの?サンジちゃん」
「エース、洗面所借りていい?」
「ああ、どうぞ」
しばらくして、シャツの袖をまくりながら洗面所から帰って来たサンジは、ガサガサと鞄を漁り始めた。取り出したのは、なにやらどろっとした茶色い固まりが詰まった大きなファスナー付きのビニール袋。
「ありのままの俺でもいいって言ったよね」
挑むような顔で言うサンジに、エースは何故か気圧されてこくこくと頷いた。
「う、うん」
「じゃあ失礼して」
サンジは床にあぐらをかいて座るとビニール袋を開け、その茶色のドロドロに手を突っ込んで撹拌しはじめた。
部屋の中に独特の匂いが立ちこめる。思いもよらない展開に、あんぐりと口を開けてサンジの動向を見守ってしまっていたエースは、ようやく目の前で何が行われているか朧げに理解しはじめた。
「サンジちゃん…それってもしかして、ヌカ?」
「うん、ダメ?気分害した?ぬか漬け臭い男はキライ!?」
ぐりん!と振り返って、なんだかもの凄い迫力で聞いてくるサンジに、エースはブルブルと首を振る。
「いやいや、とんでもない!ヌカ漬け大好きよ!どうぞ続けて!」
ムキになった様につり上がってた眉を、今度はふにゃんと下げると、サンジはまたエースに背を向けてヌカをかき混ぜ始める。
「…ジジィの形見なんだ」
ぽつりと言ったサンジの目が、またじわりと潤む。
「店はまるごと借金のカタに取られちゃったし、持ち出せたのはジジィが使ってた包丁一本と、このヌカだけだったんだ」
泣き濡れた瞳の美青年が、一心にヌカをかき混ぜている姿は非常にシュールだ。しかし、その姿には、心ある人間ならば打たれずにはいられないであろうひたむきさがあった。
「サンジちゃん、これずっと手を入れてきたの?」
「うん、毎日」
客を取ってた時も、毎日ちゃんと手を入れて来た。萎えたと言われて追い出されそうになってからは、相手が寝てからバスルームに籠ってこっそりかき混ぜていた。匂いに敏感な奴がいて、臭いと捨てられそうになって、ボコボコにしてやった事もあった。
「これが俺のありのままだよ。未だに育ての親の死から立ち直れない。端から見たら馬鹿みたいだろうけど、これをダメにしたら何もかも終わりなような気がして、必死で守ってる」
「サンジちゃん…」
「こんな俺でも愛してくれる人がいると思う?」
ぽた、と手の甲に涙の粒が落ちて、サンジは慌てて顔を上げる。
「…勿論さ」そう言うと、エースも床に座って彼の手元を覗き込む。
「なんだか懐かしいな」
袖口で涙を拭って、サンジが泣き顔のまま笑った。
「エースのうちにもあった?」
「…いや、母親が小さい頃に死んだから覚えてないけど、でも…懐かしい感じがする」
「エースのお母さんも亡くなったんだ」
切ない顔で見上げてくるサンジに、エースは穏やかに微笑む。
「俺は恵まれてるよ、顔も覚えてるし、愛された記憶だってある」
両親の顔も知らない、僅かな記憶すらないサンジは、気後れしたように目を伏せた。
「俺ってバカみたいだと思う?呆れた?」
「まさか」
「ホントに?なんで!?」
「ゼフから受け継いだものだろ、大事にしなくてどうすんのさ」
誰にもわかってもらえないんじゃないかと思っていた事を、エースにあっさりと肯定されて、サンジは喉の奥がぎゅっとなるのを、大きく深呼吸をして堪えた。
「…あしたきゅうり買いに行く」
喉に詰まった声で言えば、エースがニッと笑った。
「カブも食いたい」
「ナスも、うまいよ」
「最高!白いごはんと」
「…みそ汁も焼き魚もつける」
「わお!ゼフのヌカ万歳!」
両手をヌカだらけにしたまま、ぽろぽろと涙をこぼすサンジを、エースがぐいと抱き寄せる。
エースの肩に顔を埋めて、サンジはうええ、と子供みたいな声を上げて、盛大に泣き出した。


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念のため申し上げておきますが、笑うとこです、ここ。

「出会い」で、ガブ的には書きたいジジィのヌカネタだったんですが、それ入れたら台無しだろうとカット…したんだと思う。
ちなみにこのヌカ、「忙中閑あり」でベンがかき混ぜてたヌカです(ベックマンさんになんて事させるの)。

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