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必死にグラウンドを駆ける選手達を、 「かつてどこかで見た展開だな」 そんなことを思いながら眺めていた。
その時、こんな声が聞こえた。 「1トライ1ペナルテイで逆転だ」。 そう、1ヶ月前の同じ場所で行われた試合でも、 同じような時間帯に同じ点差をつけられていた。
インジュアリータイム。 一人の選手が、鉄壁のデイフェンス網を するすると抜け出しライン際を疾走した。 奇跡の逆転劇の再来が刹那、頭をよぎった。
ノーサイドの笛とともに、選手達はそれまで所狭しと 駆け回っていた国立のグラウンドに崩れ落ちた。 「奇跡はそう容易く起こらないからこそ奇跡なんだよな」 そんな風に自分を納得させて、卒論の執筆を再開した。
優勝した時のみに歌う事が許されているあの歌を、 10年間の在学中に一度、聴いてみたかった。 最後にあの歌を歌ったあの監督ならば、 10年以上待ちつづけているたくさんの赤黒ファンに、 きっと来年それを聞かせてくれるはずだと思う。
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