エンターテイメント日誌

2004年11月06日(土) 山田洋次流マンネリズム <隠し剣 鬼の爪>

山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」の評価はA。一方同じ藤沢周平原作による最新作「隠し剣 鬼の爪」の評価はB-である。

ぶっちゃけた話、両者の時代背景・舞台・そして物語展開は全く同じである。ではどうして評価がワンランク以上落ちたのかというと、それはひとえに主役のふたりの魅力の差だ。前者の真田広之と宮沢りえのコンビと比較すると後者の永瀬正敏と松たか子の魅力は半減というか、はっきり言えばミス・キャストなのである。

千葉真一が主宰するJAC(ジャパンアクションクラブ)に12歳から所属していた真田の刀さばきの鮮やかさや立ち振る舞いのしなやかさと比べると永瀬は見る影もないし、健康そうな松たか子が病気で床に伏せっていても全く説得力がないのである。

しかしながら脚本は良くできているし、山田洋次の演出も丁寧で映画の完成度は高い。徹頭徹尾「たそがれ清兵衛」の焼き直しではあるが、そこには寅さんシリーズを観ているような安心感・心地良いマンネリズムがある。

お金を払って観る価値はある映画だろう。特に「たそがれ清兵衛」未見の方にお勧めする。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]