エンターテイメント日誌

2004年11月10日(水) トム君、また脇役に食われちまったね。

トム・クルーズは気の毒な人である。オスカーを狙って昨年12月に公開された「ラスト・サムライ」では完全に渡辺謙に場をさらわれて結局、渡辺謙はアカデミー助演男優賞にノミネートされたが、トムは主演男優賞にノミネートされなかった。

新作「コラテラル(巻き添え)」ではタクシー運転手を演じたジェイミー・フォックスの存在感に完全に食われちゃった。トムは今度もオスカー・ノミネートは望み薄だ。一方でジェイミー・フォックスは現在北米で公開中の「レイ」でレイ・チャールズを演じ、アカデミー主演男優賞はほぼ確実である。この役は全盲という身体障害者であり、オスカーを受賞する法則に見事に適っている。

さて、「コラテラル」の評価はCである。確かに娯楽作品として良く出来ている。特にディスコでの派手な銃撃場面以降、俄然盛り上がる。虚無感漂う終幕は若干盛り下がるけれど、尻すぼみなのは「ヒート」の例を挙げるまでもなくマイケル・マン監督作品のお約束であるから余り気にならない。

ただ、オリジナル脚本の練りが足りないのが惜しいなぁ。大体設定に無理がある。一晩で5人を暗殺しようとする殺し屋が、行きずりのタクシーを拾う筈がないじゃないか。レンタカーを借りるか、殺しを依頼した組織が車と運転手を提供するのが筋でしょうが。それからフロントガラスが割れたタクシーに乗り続けるのも不自然。それじゃ目立ってしょうがないし、実際不審に思った警官に呼び止められるしね。やっぱりその時点でジェイミー・フォックスを殺して、別のタクシーに乗り換えるべきでしょう。

本作は夜間でも撮影可能な新開発デジタル・ビデオカメラ(Viper FilmStream Camera)で撮影されているが、フィルム撮りでない違和感は余りなかった。画質は及第点だろう。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]